ごちゃまぜ浮浪録

新人を脱しつつある肥満薬剤師が薬学部生向けに日頃のあれこれを偉そうに語るブログ

【薬】透析治療の処方①

よう俺だ。

 

 

最近は忙しすぎて連休でも無いと書けなくなってきた…。

 

 

前回言っていた通り、透析の薬理学的アクセスのさわりだけでもまとめようと思う。

 

 

まず、前提条件として、透析はその原疾患があることが多い。

全部ではないが、糖尿病や高血圧、慢性糸球体腎炎なんかがそうだ。

だから、多くの透析患者はその治療も平行して行っていかないといけない。

そして、その治療薬と、透析との相性・腎機能との相性も随時確認していかねばならないから…

 

非常に薬学的にも負担の高い疾患だ。

 

その中でも特に使用率の高い薬剤について今回は書く。

 

・糖尿病治療薬

透析患者の中で、血糖降下薬を服用している患者はかなり多い。

その状況も多岐に渡り、

インスリンを複数本大量に打っている人も居れば、

DPP4阻害薬単剤な人も居る。

 

ただし、血糖降下薬はその多くが腎排泄であるため、

使われる種類は実はそんなに多くない。

 

αGI…アカルボースやミグリトールなど

即効型インスリン促進薬…レパグリニドなど

DPP4阻害…~グリプチン

(余談だが、リナグリプチンとテネリグリプチンは、腎機能低下による減量の必要がない。)

 

基本はこの3剤。

最近は、SGLT2が臨床での実績を積んできたため、レジメンに加わってくるかもしれない。

エンパグリフロリジン(ジャディアンス)は、腎機能の低下に抑制効果が働く論文が最近出てきたので、うちの透析科からもそろそろ使われるかも?

 

・高血圧治療薬

こちらも糖尿病薬と肩を並べて登場する機会が多い。

ARB、Ca拮抗薬(特にアムロジピン)は汎用される。

利尿薬(トリクロルメチアジドやフロセミド)も多い。

透析患者は自然とカリウムが高くなっていく傾向があるので、

低Kへ誘導する利尿薬はその狙いもあるようだ。

逆に、K保持性の利尿薬はあまり出てこない。

β遮断薬の使用率は低め。いずれにせよ基本は腎保護作用のあるARB、ACEが代表的だ

 

・リン吸着薬

透析患者のすべてが飲んでいるわけではないが、腎不全患者以外が服用することの少ないもの。症状が重くなるにつれ、お世話になることが多い。

 

基本は、食物の中のリンと胃の中で合体して、吸収されずに体外へ排泄する。

そのため、食直後(一部は食直前)服用が徹底されないと、意味が無かったりする。

吸着薬にも色々あるが、

沈降炭酸カルシウム

ランタン(ホスレノール)

クエン酸第二鉄(リオナ)

が特によくうちでは使われる。

沈降炭酸カルシウムはカルシウムを含むため、

リンが高くなりPTH亢進、二次性の低カルシウム血症を起こしやすい透析患者とは相性が良い。

ただし、慢性投与でカルシウムが高くなり、血管の石灰化を招きやすくなるところも注意点。

リオナは三価鉄を含む。吸収がよくないので鉄剤ほど鉄としての効果は出ないが一応鉄が高くなるリスクはあるらしい。

また、便が鉄で黒くなる。

 

・カルシウム、ビタミンD補給剤

前述のように、末期腎不全患者はカルシウムが低下しやすくなっているので、ビタミンDを補給することでカルシウムの生成を優位に働かせる。

アルファカルシドール内服

それから院内で注射薬としても出されている

要は骨がもろくなるわけだが、ビスホスホネート製剤は腎排泄のためそれ以外の薬で対処していくことになる。

 

(・造血)

院外薬局で出ることはないが、腎機能が悪くなるとエリスロポエチンが低下して腎性貧血を起こすことがある。

故に、エポエチンの注射が院内で出ることがある。

 

血栓防止薬

透析では、血液を一度体外に出して、機械を通してまた戻す。

ただ、血中の血小板や凝固因子は生きているので、機械に触れたこれらの因子は凝固を起こすため、患者の血管イベントが増加する原因になる。

注射で、院内からヘパリン製剤が出るのだが、それだけでは足りないので、内服で抗血小板薬が出されることが多い。

ワーファリンやシロスタゾール、クロピドグレルが代表的だが、昨今、第Xa因子阻害薬の登場により急速にそのシェアは伸びている。

高齢の患者が手術をする際に何日間も中止しなければいけないのは、隔日で透析をする患者には不適だし、ワーファリンはPT-INRで容量調整する必要があるからだ。

アビキサバン、リバーロキサバンがうちでは多い。

 

・抗ヒスタミン、レミッチ

透析患者はかゆみを訴えることが非常に多い。もともと、通常の成人と比べて皮膚症状が多くなったり、透析の影響で血管掻痒が増えるため、透析年数の多い患者ほど慢性的に抗ヒスタミン薬を飲んでいる。

なお、レミッチ(ナルフラフィン)はヒスタミンと違い、オピオイドK受容体を遮断することによってかゆみ感覚を抑制する。透析におけるかゆみ専用のような薬である。

 

・昇圧薬

アメジニウム

ドロキシドパ(ドプス)など

透析時には、血液を一時的に引くため、体にとっては失血するということだ。

故に、血圧が下がる。低血圧を防ぐため、透析前および透析後に内服する。

 

 

 

・シナカルセト(レグパラ)

上の方でも書いた、副甲状腺機能亢進症に対する薬。

 

・便秘治療薬

マグミット、センノシド、アローゼン顆粒、大建中湯など…

単純に高齢の患者が多いからだろうが、便秘気味の患者が多いので、見る機会も多い。

 

・抗不安、睡眠薬

一般の外来患者と比べると処方率は高い。

あまり腎機能を考慮しなくても良い薬が多いせいか割と種類を選ばず出る。

 

・その他漢方

芍薬甘草湯…脚がよくつるらしく、透析の中では汎用処方。

 

 

こんなところだろうか…

同じ患者でも、多剤併用の多さといい、種類といい、一線を画している。

薬剤師によっては全くかかわらない分野になるかもしれないけど、分野としては決してニッチではない時代に突入してきていることだし。

 

腎機能の在り方も含めて勉強する意味合いは強いのではなかろうか。

【薬】シムビコートのSMART療法

いつもより更新間隔が狭いのは、割とカルチャー違いな処方が出たからだ。




というわけで、俺だ。




気管支喘息の治療方法として、




薬学領域では以下のように学ぶ。



気管支喘息の病態は、気管支が炎症などにより狭窄していること。
アレルゲンや寒気などにより、気管支の収縮が起こり、狭窄部が閉塞して喘息症状を呈すること。

その診断は一秒率、肺活量により決まり、

治療としては
長期的に炎症を抑えるステロイド

短期的な発作を抑えるβ2刺激薬
(β2受容体はGsタンパク型で副交感神経興奮→気管支拡張、だ)

に分かれる。前者をコントローラーと呼び後者をリリーバーと呼ぶ。


治療上留意しなくてはならないのは

ステロイド薬を使用したら必ずうがいをすること
(残留ステロイドによる感染症を防ぐ)

リリーバーは発作時以外には使用しないこと
(β2受容体アゴニストは吸入薬でも気管支に完全に選択的ではない。心臓β受容体にも作用し、不整脈を生み出す。日常的な過剰な使用は心停止を招く恐れがある)


国試レベルならこれくらい抑えれば基礎は大丈夫なはずだ
ちなみにβ刺激薬は●●テロール(ツロブテロール、サルメテロールなど)、β拮抗薬は●●ロール(プロプラノロールなど)だ。

ツロブテロールは長時間作用型で貼付薬に用いる(みんな大好きホクナリンテープ)
サルメテロールは、β刺激薬だが、長時間作用型なので基本的にはコントローラーとして用いる


プロカテロール(メプチンエアー)は、短時間作用型のβ刺激薬だ。いわずもがな、リリーバー。


β受容体関連で薬剤師国家試験で覚えるべきところはあとは、
COPDに適応のあるもの
レンブテロールやミラベグロンなど、特殊な適応をもつもの
くらいかな。
ISA+とか-とか、その辺はいらないんじゃないかな
仮に出たとしても現場じゃ使わない
医者が処方の際に参考にするかもしれんが
現実問題気管支喘息の治療薬はほとんどが

シムビコート(ブテゾニド、ホルモテロール)
メプチンエアー(プロカテロール)
フルタイド(フルチカゾン)
セレベント(サルメテロール)
アドエア(サルメテロール、フルチカゾン)
ウルティブロ(グリコピロニウム、インダカテロール)
シーブリ(グリコピロニウム)
オンブレス(インダカテロール)
レルベア(ビランテロール)


みてわかる通り、ステロイド単剤か、長時間β単剤か、その両方かだ
上記のうち、メプチンエアーを除けば基本的にはコントローラーとして使用する。


ただし、今日出た処方は、シムビコートをスマート療法で…


とのことだった。


スマート療法とは、
シムビコートのようなコントローラーで使うものを、発作時に屯用で使う


療法のことだ。
これ、2013年に適応取ったらしいんだけど


全く知らなかった。授業でも聞かなかったし…



同じようなβとステロイドの合剤はアドエアやウルティブロは、この記載は添付文書にない。

そもそも、ウルティブロはカプセル型だから屯用に向かないのだ

シムビコートと比べてアドエア(ディスカス)は、患者の吸う息が弱いとあまり意味がないから、発作時で吸う力が弱っていると使えないだろうな



という、シムビコートの隠れた特性をいまさらながら知った素人薬剤師なのであった。



これ、うちの管理薬も知らなかったみたいでちゃんと勉強してから投薬したぞ。w



まぁこんなの国家試験には出ないだろうけど

長時間β刺激薬でも発作時に使える薬はあるってことで。

【薬】糖尿病薬の強さと併用

http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/di/column/yamamoto/201411/539363.html



また久しぶりになってしまった。


最近妙に忙しい…




薬学を学ぶにあたって、



作用機序とか、



薬効とか、



その辺は踏襲するんだけども



実際に現場に出ると



どういう理由でこれが使われるか、とか



同じ作用機序でも特色や強さに違いがあって、




そこはそれで勉強していかないといけない




んで、今回は糖尿病薬について考えよう




糖尿病薬、
現在は
SU、グリニド系
チアゾリジン誘導体
ビクアナイド
αGI
DPP4関連
SGLT2
インスリン注射


等多様なものが使われている




では、この中で最も汎用されているのはどれだろう?





あくまでうちの病院集計だが



錠数ベースで行くと、
首位はビクアナイド。
2位にSUとグリニド系薬
少し遅れてDPP4やチアゾリジン
だいぶ空いてαGI
SGLTは数えるほどしか出ない
インスリンはSGLTと患者数的にはほぼ同じかなー


ビクアナイド、すなわちメトホルミン、ブホルミンがそうだが


商品名メトグルコは、糖尿病の第一選択として汎用する医者が多いらしい


薬学生だった時には、


副作用の乳酸アシドーシス



が強くちらついて、


あまり使いにくいやつなのかなーとか思ってたが



血糖降下作用が強く、使いやすいようだ



SUやグリニド(シュアポスト;ナテグリニド)は、
同じく血糖降下作用が強いが
同時に低血糖を起こすリスクが高い


ということで、まとめてみた。

↑強

ビクアナイド
SU チアゾリジン

グリニド
DPP4

SGLT2
αGI

↓弱


おおよそ、この3グループに分類することができそうだ。



実際、αGIは食事依存的な患者によるし、
SGLT2は高齢者には使いにくい。肥満な患者にほぼ限定されると言っても良い

メトホルミンは単剤でよく使われる半面、



併用まで行くとSUとDPP4がシェアを伸ばしてくる。


単剤では効果の薄い患者にSUとメトホルミンを併用したり、


さらに追加するときに低血糖を加味してDPP4を付け加える感じか。



それでも減らなかったらピオグリタゾン



ちなみに、糖尿病薬の併用はおおよそ4剤まで



ということらしい



この間来た処方で

アマリール1mg (グリメピリド) 分1
シュアポスト(ナテグリニド)0.25mg 3T分3
メトグルコ(メトホルミン)250mg 6T分3
般ピオグリタゾン15mg 1T分1
テネリア(テネリグリプチン)20mg 1t分1



というものがあった(個人情報ゆえ改変して仮のものにしている)




5剤併用。保険適用上、厳しい。返戻に合う可能性もあるものだ


あと、シュアポストとSU併用してるから、そもそもそこの時点でだめだけどな(作用機序一緒でしょ)



医師に疑義照会したら、


インスリンを本当は出したいんだけど、


患者がインスリン適用するような人じゃない(嫌がる)



ということで、仕方なく併用しているようだ。




まぁ、注射だしなー。




注射といっても、どちらかというとシャーペンの芯をめちゃくちゃ細くしたようなやつだけどな



一般的な注射針はいかにも刺されると穴が空きそうな太さをしてるけど



インスリンの注射針は肌に触れたら針の方が曲がるんじゃないの、ってくらい細い



血管に入れるわけでもないから




そんな恐怖感はないんだけど




とまぁそういうことで糖尿病薬の併用はありきたりだけど、色んなことがあるんだなぁと




ちなみにグリメピリドはSUの中でもインスリン抵抗性の改善作用がある

一方で心疾患リスクについては他と比べると少し高くなるようだが



メトホルミンはビクアナイドだけど2250mgまで増量が可能で作用も用量依存的というのも大きい


これはブホルミンより圧倒的にシェアを得ている要因だろうな。



DPP4は色々あるけど…どれがどう特色あるかはちょっとまだ情報不足かな



うちはテネリグリプチン(テネリア)、シタグリプチン(ジャヌビア)、リナグリプチン(トラゼンタ)、ビルダグリプチン(エクア)、アログリプチン(ネシーナ)

を置いてる。


リナグリプチンとテネリグリプチンは、腎機能障害下でも減量が必要ないので、テネリアがいまんとこ売れてるのかなー




さてでは腎機能障害GFR30以下で禁忌の糖尿病薬は?












SU、グリニド
ビクアナイド
ピオグリタゾン(eGFRによる)
シタグリプチン(eGFRによる)



なので、あんなに便利なメトグルコも腎障害まで行くと


使えなくなるんだな




ちなみにエンパグリフロジン(ジャディアンス)は、SGLT2の中でも腎保護作用があるようで、



今後腎障害とは相性がよくなるかも…?



しかし、腎障害の患者に尿細菅の副作用を起こしやすいSGLT2を長期投与するのもどうかと思うが。





今回はこんな感じで。102回国家試験でも糖尿病薬は相変わらずホットになるだろうし



俺も将来的には認定薬剤師取ったら糖尿病関連の勉強を深めて


糖尿病の患者はワイにまかせろっ!(かかりつけ薬剤師210円つけてね)


って感じでやれるくらいにはなりたいなぁ

薬剤師日誌5

なんとまぁ、ひさしぶりなことだ




久しぶりということはだ



いそがしすぎて書く暇がねぇ



ってことだな




休みが無いことは無いんだが



休みの日にやることもあるし、



休みの日に休まないと週の頭がしんどい…




有休が早くついてほしいもんだ




ブラック企業はともかく




普通の会社は半年で年間10日



6年半の勤続で年間20日の有休がつく



まぁ、前者はついても年間20日なんて取らせてくれるところは多くないのかもしれないが…




年間20日とか、


公休のために5日ほど取っておくにしても



年に2回は土日繋げて2週間ほどの休みをとることもできるんだよな



あくまでも制度上の話で、こんな長期連休取ると会社が回らなくなるから、他の日に移動させられるかもしれないがな




有休はともかく、夏季休暇が1日だけ貰えたので



8月の祝日にくっつけて連休を取らせてもらうことにした。




東京に行って旅をしてくる。




8/12から14。



これだけで何しに行くのか分かる奴もいるかもしれんがな





ともあれそれはおいといて、




先週はいくつか面白いことがあった



まずは


頻尿に処方されたリリカの適応外処方



リリカ(プレガバリン)は、神経障害性疼痛向けの薬だ。


主に末梢神経障害とか、神経菅狭窄に用いられる



副作用の欄には頻尿と書いてある(頻度不明)。



はて…意味がわからん、



医者に話を聞けば、最近流行ってるらしいのだ。



またか…と思った。




こないだの記事ではラフチジンの末梢神経障害への適応外処方を書いたが、




今回のリリカに関しては論文も何もなかった



ただ、ロキソニンやセレコックスといったNSAIDSが、頻尿に対して使われることはあるらしい。



NSAIDSがCOXを阻害することで、プロスタグランジンE2の生成が抑制される。このPGE2は、糸球体尿細菅を拡張させるため、NSAIDSは副次的に頻尿を改善するのだ。


プレガバリンとNSAIDSは作用の異なる鎮痛薬だが、同じような効果を期待されているのかも?




それから、
ノルバスクとノルバデックスのインシデントがついにうちでも起きた。

医師が電子カルテ上の選択を誤り、処方して服薬指導中に血圧のワードを出したところ、患者さんが怪訝な顔をされたので照会したのだ



ほんとこれいい加減にしろと思う。


ノルバデックスは90日処方されることも多い。



その間まちがって血圧の薬を飲んでいて、まあ仮に低血圧を引き起こさなかったとしても、先日の小林麻央の乳ガン報道といい、乳ガンは数ヶ月の治療の遅れが命取りにさえなることがあるのだ


本来はノルバデックス(タモキシフェン)を飲んでいたはずが、まったく意味の無い薬を飲まされて、


それで乳ガンが進行したとしたら



薬剤師も責任を負わないといけないし、

当然医師も責任を負わねばならない


なにより製薬会社や厚労省の怠慢と


マスコミから叩かれるに違いない




悪いことは言わないからノルバデックスの商品名を変更して欲しいものだ



あるいは、用量を前にもってきてもいいかもな

20ノルバデックス

とか。


うーんでもそしたら他のミスも増えるか…


ノルバデックスは10と20mg
ノルバスクは大体2.5とかだから



そこで見分けはつくっちゃつくが




でも3文字までだと、薬が増えていけばいずれ同じことが起こってくるし…



やっぱ記号の前つけかな…


Cノルバデックス
Cアリミデックス




ほんと、わるいことが起きないといいぜ

薬剤師日誌4

http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/di/column/aoshima/201605/546872_2.html


やあ、元気か?



俺は元気とは言えないかもしれんが




6月は祝日無いんだよなー。



そして有休もまだ取れないし



つまり休みがないわけだ





さて、今回は糖尿病のガイドラインが変わったのでそれを絡めて考える




糖尿病、世間的にはぜいたく病やら間違った認識になっているが、


患者のそれなりの割合は非肥満型の高齢者が存在する



糖尿病は一般的に慢性治療で血糖コントロールをしていかねばならないが、



低血糖にも注意をくばらなければいけない




前回の記事で高齢者の低血糖認知症を促進すると書いたが、



高齢者

あるいは既に認知症を発症

もしくはADL低下の患者では


厳格にhba1cを6.5に制限する必要はないと示された。



詳しくは割愛するが、


仮に高齢者のhba1cが7や8であっても、低血糖のリスクを増やしてまで増量する必要は必ずしもないというわけだ


むしろ、血糖に下限が設定され、より低血糖に対してケアする方向にシフトした。






それから話は変わって、ラフチジン(h2ブロッカー)の不思議な話



うちの処方にとある症例が持ち込まれた。



複数のよくある慢性疾患の薬に、プロテカジン(ラフチジン)が追加されたのだ


しかし、話を聞いても胃潰瘍や胃部不快感は無いと言う。もちろんセレコックス等も出ていない



ただ、この患者は以前より末梢神経のしびれを気にしており、メチコバールも処方されていた。
プロテカジンはそのしびれに対してのものだという。



プロテカジンはH2ブロッカー、Gsタンパクと相関するから、想像できなくもないが、しかし当然ながら適応にそんなものはない。


しかも、そのプロテカジンは最近噂になっていて処方もふえているのだとか。なにせ、他のH2アンタゴニストではダメらしい。



で、論文を漁ってみた。



すると、パクリタキセルを使用中で慢性の末梢神経障害を訴える患者にラフチジンを投与したところ軽快した、とする論文が見つかった。



で、さらに調べると、どうやらラフチジンはH2ブロッカーである以前にカプサイシン様の知覚神経麻痺作用をもっているらしく、これがしびれを一時的にごまかしている? ようだ。


いわゆる、辛いものを食べたときに舌が麻痺して他の味が感じにくくなる…ということが体の中で起こっているのだろう


末梢神経のしびれを伝える上行性痛覚の一部が、知覚神経節の麻痺によって遮断されるのかもしれない。

機序的にはトラマドールっぽいのかな




とまあ、そういうことがありましたとさ




適応外使用は面白いものがあるという話




ただし、この使い方をした場合保険的にはまずいので、実際に使われる時にはあくまでもh2としての働きとして処方されるけど

薬剤師日誌3

おはよう。




今週も激務だったが先週と比べたらましか…。




今日は糖尿病薬の話だ



つい先日SGLT2の指針が改訂された



糖尿病薬としては最も新しい部類に入り、



まだその使われ方が模索されているSGLT2阻害薬



薬学生的には

  • フロリジン


って覚えるもんかな



主に抑えておくべき点は



副作用に脱水


尿路感染症


比較的軽度で肥満の患者に用いる二型糖尿病薬ということ



うちではスーグラ、フォシーガ、ジャディアンヌ


を採用している




おおよそ多剤併用が多い糖尿病薬



薬剤師にとっては、もっとも憂慮すべきは低血糖のケア


SGLT2は比較的低血糖の副作用は出にくいとされているが

SUとの併用は慎重投与


基本的にSUは糖尿病薬の中心となりがちな反面


低血糖の副作用が起こりやすい



最近の主流になりつつあるDPP4阻害関連薬も低血糖は起こしにくいかな


例えば


グリメピリド
テネリグリプチン
ピオグリタゾン



の併用をしている患者が低血糖様症状を訴えてきたとき



もし仮に1剤ないし2剤を減薬提案するなら








グリメピリド


そしてピオグリタゾン



ってことだな。





ちなみに


薬学生は糖尿病の値を
空腹時126mg
hba1c 6.5%


と覚えているだろうけど



高齢者になると少なくともhba1cは厳密にこの通りの血糖コントロールを行わないこともあるのだ



この辺は処方する医師の方針次第、力量次第なのだが


高齢者は血糖コントロールが難しく



特に季節の変動でシックデイの比率が増えたり

水をあまり飲まなかったり

そもそも服薬コンプライアンスがしっかりしている人が多くない



から、ある程度余裕を持たせて大雑把に血糖管理することが大事


なのだという



低血糖が高齢者に起こった場合致命的になりかねないし、



低血糖認知症を促進するとも言われるからだ




ましてや、後期高齢者ともなると


糖尿病の進行と症状の発現に何年もかかることを考えたら



QOLを下げてまで厳密に管理する必要がない



せいぜい、GFRがきわどいことになっている人くらいだな




前に書いたかもしれないが


リナグリプチン
テネリグリプチン


の二つは糖尿病薬の中でも稀有な


腎障害で用量を減らさなくてもいい薬だ



それから糖尿病に関連していうと


ロサルタン
イミダプリル


はそれぞれ糖尿病型腎症からの比護が適用にある



昨今の国家試験はどう難しくなっても対応できるように、


同効薬でも何が違うのかは抑えておくと面白い




関係ないがうちの薬局はくそほど激務なくせに


人手不足でなおかつ狭い



どう考えても薬学実習生を受け入れる余裕などなさそうだ


将来的に移転する可能性があるらしいけど




問題があるとしたらうちの近くって福○大か第一薬○大しかねーんだよな



第○薬科大生を貶すわけではないけど



やっぱり偏差値的なものはピンキリを産み出すわけで



うちの大学も変な奴は一定数居たし



そういう学生がもし来たとしたらどうすっかねー




と、今から考えなくてもいいことをすでに考えている()

薬剤師日誌2

日誌どころか週誌だが大丈夫か?





大丈夫だ、問題ない。




今週は糞がつくほど激務だった




例に漏れず土曜日も出勤だ




楽な薬局って楽なんだろうか?




しかし楽な薬局って潰れそうだしなー




つか個人的にはこの薬局、なんで激務になってるかって事務員の数が少な過ぎて処方が詰まる

投薬カウンターが2つしかないから大型門前のくせに投薬も詰まる


そして薬局が狭いから動きづらい


開局して数年経ってるのにこれはひどい。人事はなにをやっているんだ




そんなわけでまだまだぺーぺーの俺でも既にフル回転。


有給無いのにもう有給が欲しい





ちょっと隙を見せると薬歴が100貯まるらしい


それを比較的暇な土曜日に消化するんだとか



土曜日出勤前提になってんじゃねーか




完全に愚痴日記になってやがるぜ




あまり有用性のない日誌にはしたくないから



ここでひとつ



ジェネリック医薬品の精度についてだ



ジェネリック医薬品


薬剤師からしたら



主成分が同じ


で、別の会社から出ている


先発品より安い


と説明する



なお、これは建前である



説明は嘘じゃないが


実際の所薬剤師はジェネリック医薬品を使うかといわれると


まちまちなところだ



と言うのも、



主薬以外の部分については


わりかしアバウト



つまり、主薬が速効性を持つものであれば



そんなに違いはないが



主薬の溶出が作用に大きく寄与するものは



個人差どころか薬効そのものが影響する



可能性が



あるかもしれない




ってとこ。



ロキソニンだとか


それについてくるレバミピド(ムコスタ)だとか



その辺はジェネリックでもいいと思う



後は比較的エビデンスのある抗菌薬



効果の具合で結局は調整する生活習慣に関わる薬



高血圧や高脂血症、糖尿病、高尿酸血症など



この辺も長く飲むなら負担も軽くなるしジェネリックでもいいかなって



一方特殊な薬や、作用の毒性や治療域が限定的
あと外用薬



例を挙げると
抗がん剤
循環器系薬(降圧薬除く
湿布



効かなかったら怖くなるもの


あとは成分以外のところで寄与されるもの



この辺はもし俺がその処方を貰っても



ジェネリックにはしたくねえかなあ



だって、20年その薬を作ってきて



様々な情報を収集してるとこと



レシピだけ見て同じように作るとこ



そりゃ差は出るだろう



ただし、特殊な薬って薬価が高い



例えばノルバデックス 乳癌の薬だが


90日処方だと2万とか取られる


しかしジェネリックだとタモキシフェン

約8000円くらいでokのはずだ




記憶があいまいなので例ってことにしてほしいが



場合によってはジェネリックってのはすごい財布に優しいのだ



湿布薬は



所謂貼り付ける部分が会社独自なので



かなーり



差がでる




同じジェネリックでも



会社によって



めっちゃ剥がれやすかったりする




特にモーラステープ



ケトプロフェンを含有する鎮痛薬だが



先発品がすごい使いやすいが



後発の会社によってはかなり使用感に難がある



ロキソニンテープに関しては



比較的クレームは少ないけどな




モーラスは光線過敏症に気を付けなくてはいけないのもあり、



ジェネリックおすすめはしないかなあ。。




ぶっちゃけ薬価あんまかわんねーし




ただ、薬局が後発品率65%を取れると



その点経営が助かるので



社員的には奨めざるをえないのだ



ちなみにうちはまだ65取れてない




あと余談だが



生活保護の方の処方は基本的にジェネリック



これは国自治体の方針で決まっている




しかし今までの経験上



彼らって自分の財布を痛めずに薬を貰うので



コンプライアンスはぶっちゃけかなり悪い



平気で残薬あっても来るし




最近びっくりしたのは


商品名アマージ たしか成分名はナラトリプタン?だった気がするが



あれ、成分名の通り偏頭痛薬なのだが



なんと1錠1000円


1日3回使うと3000円だ



同じ鎮痛薬のロキソニンはその1/100くらいだぜ



まあ偏頭痛にロキソニン効かないけどな



偏頭痛の一般薬があったかどうか忘れたが



ロキソニンがあれだけバカ売れするんだし


偏頭痛薬がOTCであったらくそ売れそうだな