ごちゃまぜ浮浪録

新人を脱しつつある肥満薬剤師が薬学部生向けに日頃のあれこれを偉そうに語るブログ

【薬】たかがメチコバール、されどメチコバール

よう、投薬中にネタになりそうなことを備忘録的に記事にすることを覚えた俺だ。

 

 

40代、女性。既往歴は無し。服用中の薬は点眼のみ。

 

主訴、足のしびれ。

処方

メチコバール 3錠 毎食後 14日分

 

メチコバール(メコバラミン)は、ビタミンB12製剤だ。

 

薬剤師国家試験でもよく頻出する。

胃の全摘などで、内因子が欠乏すると、食物中のビタミンB12の吸収不全が起きて、悪性貧血(≒巨赤芽球性貧血)を起こす だったり、

ビタミンB12の構造(その構造式の通り、コバルトCoを含む) ことだったり、

 

後は細かい所で言えば腸内細菌が合成するものだったり(葉酸パントテン酸、ビタミンK、ビオチン、ビタミンB2、B6、B12)

 

その適応は、末梢神経障害。平たく言えば、手や足の末端におけるしびれ、痛み、発赤などだ。

 

副作用が少なく、作用も強くなく、簡易に処方されるため割とよく処方される。

使用にあたっては、初回2週間で効果判定をし、効果が見られない場合は漫然と処方をしないこと(類:リマプロストアルファデクス、アリナミンなどのビタミン類)……と記載はされているが多くの医師はお構いなしに90日分どっさりと出していたりする

 

例えば、交通事故のむち打ちなどで、慢性的にしびれが生じている…だとか、

原因は分からないがずっとしびれがある、とか。

あとは糖尿病性の末梢神経障害の補助的療法で使われていたり。長期処方はこの理由が一番多いだろうか

 

で、上記の患者は既往歴もなく事故でもなかったので、特に理由も分からないがしびれているので出された、と俺は判断した。

患者の容体も悪そうではなかった。

ただ、いくつかの受け答えをしていると、唐突に、

「へえ~これビタミンB12なの。確かに最近取れてない気がするわ~、ビタミンB12が多く含まれる食品って何があるんですか?」

 

ヒェッ。

 

栄養学もちょこちょこ単位で取っていたから、その辺もカバーはしていたが、ビタミンB12で限定されると知識不足が露呈した。

そもそも、腸内細菌が合成するのだから、胃の機能が正常なら基本的に枯渇することは無いと思われる……のだが。

 

答えに窮して魚介類と、海藻類、あと肉類となんとも漠然とした回答になってしまって、今こうして調べてみた。

 

ビタミンB12を多く含む食品類

・青魚(イワシ、サンマなど)

・海苔(他の海藻類はあまり多くない。精々わかめ程度。ひじきやもずくは×)

・貝類(比較的どの種でも多いようだ。ハマグリやあさり、しじみでもOK)

・レバー(肉類でもそれなりに多く含まれるが、肝はダントツ。ただし痛風のリスクを上げることを考えたら、適度な量に限られそう)

 

ちなみに、野菜類は意外にも? 含まれないものが多い。

そういやどこかの模試か卒試か国家試験か忘れたが、ビタミンB12をほとんど含まない食品を選びなさいとかいう問題で緑黄色野菜って選択肢があった……。

 

だから極端に言えば、菜色主義者はビタミンB12が欠乏しやすくなっているということだ。

 

 

 

とまぁ、唐突にこんな記事を書いてみた。

日が経つと忘れるから、案外その日の投薬や疑義照会をネタにするのは良いかもしれない。

 

さてしかし第102回国家試験ももうすぐか。

マジで今解いたら物理化学が壊滅的になる気しかしないぜ

肝性脳症の新薬リフキシマ

新年が気付けば明けてしまった。

 

 

さすがにこんな更新ペースではマズいと思うのだが…

 

今の所、フルで勤務を回っている関係で休みが体を休める日になってしまって

休日の勉強もはかどらない……。

 

ともあれ、仕事中にネタを見つけたので、薬剤師国家試験も間近に迫っていることだし、久々の記事は新薬の記事だ。

 

http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/series/drug/update/201612/549324.html

 

薬剤師国家試験の勉強をしている時に、結構な頻度で過去問に目にしたと記憶しているのだが、

 

高度肝障害(主にアルコール性慢性脂肪肝や肝硬変。一部、慢性肝炎)→高アンモニア血症→肝性脳症

 

という繋がりは頭の中でイメージできるだろうか。

 

肝障害が高度あるいは慢性に進行した例では肝機能が低下しており、

特に肝臓の主たる仕事である体内で生成した毒物の解毒機能が顕著に悪くなる。

 

その一例がアンモニアであり、長期に肝硬変を患う患者は往々にして高アンモニア血症を発症する。

 

そして、肝硬変での治療薬の代表として、

・BCAA製剤(バリン・ロイシンイソロイシン)……リーバクト、アミノレバン等

→肝性脳症を引き起こす患者は、これらBCAAが低下している(フィッシャー比)。これらは肝臓ではなく筋肉でも代謝できるため、増悪期の精神症状等を改善するためにもつかわれる。

・ラクツロース

腸内で乳酸菌を増やし、腸内のウレアーゼ活性でアンモニアが増加するのを抑制する。

・カナマイシン

腸管からほとんど吸収されない抗生物質(アミノグリコシド)。

上記の腸内細菌を殺菌することで、アンモニアの増加を抑制する。

副作用として、腸内細菌叢が乱れ偽膜性大腸炎を引き起こす。(腸管で吸収されにくい感染性腸炎治療抗生剤は、どうしても付きまとう副作用である)

※ただし、カナマイシンには肝性脳症の適応は無い。適応としては、感染性腸炎である

 

これらが挙げられる。

マークシート型の国家試験では特に出題しやすいので、必ず取りこぼしが無いようにしておきたい所だ。

 

このカナマイシンに似た作用機序で、リフキシマは肝性脳症の適応で発売された。一般名はリファキシミンで、系統としてはリファンピシンと似ているDNA依存性RNAポリメラーゼ阻害薬である。

 

リフキシマのメリットは、肝性脳症に悩む肝硬変患者(ちなみに、肝硬変では肝性脳症の比率は4割以上に上り、非常に予後が悪い)に対する新しいアクセス方法だということ。

 

これは国家試験には全然関係のないことなのだが、上記のラクツロースやアミノレバンといったものは、通常の栄養に置き換えて使用するものなので、とにかく量が多い。

この間の記事で言った、カリウム吸着薬のカリメートも大概なのだが(1包5グラム。それを毎食毎日)、アミノレバンは1回50gである。それを180mlの水に溶かして毎日毎食飲まなくてはいけない。

ラクツロースは1回30~60mlほど(ゼリー剤ならアーガメイトゼリー並の大きさ)だ。

一般的な製剤と比べると量が多く、治癒しない限り一生飲むものだから、嫌になるのもしかたがない。

 

あと、アミノレバンはくっそマズイ。

薬局実習でもし試食させてもらえるなら是非飲んでほしい。

3日でギブアップしたくなるぞ。

 

これに加えて、併発する疾患が肝硬変には多いから、とにかく大量の服用をしなくてはいけない精神的苦痛から、コンプライアンスが悪化しやすい疾患だ。

 

そんなんだから、服薬しなくなる患者が多く、見かねたうちの医師もついこの間でたばかりの新薬に頼っていきなり処方してきたというわけだ。

(ちなみにコレ、いま規制品らしく、メーカーが処方元に確認して契約を結ばなければ納品できないみたいだ。)

 

こういう肝硬変患者のコンプライアンスを改善できるのでは…と思っている。

 

デメリットは、結核菌への交差耐性が問題視されているということ。

要は、結核治療薬であるリファンピシンと同様の機序であるので、リファンピシンに対する耐性菌を増加させてしまうのでは、という懸念からだ。

 

というのもあって、添付文書では禁忌ではないものの結核患者には第一選択とせず、他の療法を優先すること、となっている。

 

リフキシマについて抑えるべき点はこんな所だろうか?

 

昨年の新薬なので、国家試験で出るにしても2018年か2019年以降だと思うが

今4年生なら、チェックしておいても良い所かな

 

 

ところで、今年のホットな部分だが

 

1瓶130万、一人の患者の治療3か月に400万のお薬ハーボニー配合

(新薬のC型肝炎治療薬レジパスビル・ソホスブビルの合剤。ソホスブビルはNS5Bポリメラーゼ阻害で、日本人のC型肝炎に特に著効率が高いらしい新成分)

 

のニセモノが出回ってるらしいな。

B/C型肝炎治療関連の問題は今まで併用薬関連と禁忌くらいしか出しどころが無かったし、

そろそろ狙われる可能性もあるんじゃないかな~と

 

思ってる。今年は無いかもしれんが、来年の国家試験はちょっとあるかも。アスナプレビルなんかもあるしな。

 

 

 尤も受験生はこの時期こんなブログなんて開いてないとは思うが

 

 

どうでもいいことだけれど

調剤薬剤師になって、

物理化学衛生分野に関しては

 

本当に知識使わないんだよな。マジで

基礎部分だから仕方ないとはいえ

なんであんなに物理化学って青本もブ厚くてそこそこ出題範囲あるんだろうな…

第99回、第100回に至っては

アレの足切りで涙した人も居るだろうに

 

逆に

薬理 薬物動態は

使えないとお話にならないレベル

 

ってくらいに毎日割と使う

当たり前ちゃ当たり前だが

 

患者の前でニコニコ笑って袋詰めする

なんてコンビニ店員でもできるわけで

 

それをやりつつも頭の中で電子カルテ見ながら患者の動向を推察する

んで、必要そうな知識を使っていく…

 

 

知識が無くても仕事にはなるのかもしれないが

あって得することは多いと思う。

 

例えばさ、

血圧と糖尿病の薬をずっと28日とかで同じ薬処方されてた患者がいきなり

全処方を14日分、ただしメトグルコ(メトホルミン-ビグアナイド薬)錠だけ11日分で処方されてて

 

普通、処方せんで日数が違うのはいくつか理由があって

①単に医師の処方ミス。電子オーダリングで、前回の日数をそのまま引っ張ってくると時々ミスる。

残薬調整。患者がこの薬だけ●日分余ってる、と医師に伝えてその分減らしてるパターン。

等色々あったりするんだけど

まぁ疑義照会するか、患者に聞いて解決するのであれば良いが

 

この時処方せん持ってきてたのが患者の妻で、代理だったから何も聞いてなかったんだよね。奥さんは

 

で、何も知識が無いと、看護師かクラークに電話して日数ミスってますよ~って依頼しちゃう可能性があるわけだけど

 

よくよく尋ねたら、2週間後にCTを受けるとのことだった。

 

ああ、あれか、とそれでピンときた。

メトグルコは重大な副作用に乳酸アシドーシスがあるんだが

これを起こしやすくする要因に腎機能低下があるんだな。

だから透析患者や末期腎不全では当然禁忌なんだけど

 

CTなんかに使うヨード系の造影剤は、一時的に腎機能を低下させることがある。

特に、こういうCTを受ける患者は元々腎機能が低下しつつある高齢者が割と多いから

結構気を使わないといけない。

 

それで、CTの前後、メトグルコだけを中止する意図が医師にあったわけだ

実際に服薬指導する時にも、CTの2日前から中止し、CT後48時間は服用を避けるのが望ましい。

とされている。

 

 

こういう所に大学で勉強した事が生きてくるなら

 

まああながちしんどい思いして勉強したことも悪くなかったと思うようになってきた(最近)

 

あと単純に雑学的にでも色々知ってると

患者と話が弾むし良い。

話が弾まないつまらない薬剤師に

 

自分の内情なんて話してくんないだろうからな~

 

俺なら

薬の説明と袋詰めしかしてくれない奴より

多少なりとも聞いてくれる奴の方がいいな

 

 

さういふものに わたしはなりたい

【薬】トラムセット

随分とご無沙汰になってしまった。




忙しい上に、風邪で今年はじめて寝込んでしまった。


まあ、学生時代はしよっちゅう体調不良で欠席をしてた俺だから、


新卒8ヶ月無遅刻無欠勤なのは快挙とも言っていい



今日も偶然休みの日だったから、欠勤にはなってないしな。




ところで、近況だが。


11月13日に、福岡マラソン2016が行われた。



このブログの命題のひとつ、走るということ




当然、フルマラソンだったわけだが、



道中折り返しで脚が吊り、その後すぐに両足が吊ってまともに走れなくなるアクシデントこそあったが、


4時間27分で完走できた。



目標は3時間台だったのだが、まあしかたない



芍薬甘草湯でも用意していけばよかったぜ




まぁともあれ、今後もマラソンには挑戦していきたい



その前にしっかり痩せることだろうけど。





んで、最近あったこと。



病院薬剤師であれば、患者の腎機能をチェックして投薬することは当たり前になっている。


特に、透析科のある病院ならなおさらだ




薬学部ではほとんどやらなかった気もするが、




腎機能による用量調節は高齢化の進んだ今、必須項目でもある。



肝機能は基本的に病名として肝臓病とつくものなら



禁忌になる、あるいは慎重投与がほとんどなのだが




腎機能の場合は細かく数値と状態によって行えることが違ってくるので



医師も薬剤師も神経を使わねばいけない部類だ



もっとも、薬局薬剤師のほとんどは



患者の腎機能データを得ることは難しいし、
よほどのことでなければあまり腎機能をもとに疑義照会をすることはない



が、今回偶然にも、うちの門前で透析を受けている患者が、外来で処方をもらいにきたため、そのケースがあった。




例1 透析患者への痛み止め

透析患者さんAさんは、事故による追突で頸部の痛みを訴えて受診した。

Aさんは透析を週に3回受けており、腎機能はccr10未満、定期処方での痛み止めは出ていないものとする。

処方はこちら


ワントラム錠 100mg 1錠 朝食後
ナウゼリンOD錠 10mg 1錠 朝食後
10日分


透析を受けている病院と同じ病院にかかっているため、カルテで医師は透析しているということを分かっているはずなのだが、よほど強い痛みがあったのだろう、ワントラム(徐放性トラマドール)を処方した。

ちなみに、鎮痛剤の第一選択はNSAIDSと呼ばれる
ロキソニン(ロキソプロフェン)やセレコックス(セレコキシブ)だが(基本的に外傷疼痛であればセレコックスが選択されやすい)


慢性疼痛、長期的に使用されるものとなるとこのトラマドールが選択肢に入ることになる。
トラマドールとアセトアミノフェンを配合した、トラムセットも汎用されている。

神経障害性であればリリカ(プレガバリン)や、サインバルタ(デュロキセチン-SNRI)にも手が及ぶ。


一般に、NSAIDSよりもトラマドールの沈痛作用は強い。
ガン性疼痛にも用いる、オピオイド型の沈痛剤だからだ。


故に副作用も強い。
それに、沈痛剤の大半は腎代謝型であるため、(特にNSAIDS)
腎不全患者への痛み止めは、本来慎重にならざるをえない、のだが…



当然ながらこれは疑義照会の対象となった。

そもそも添付文書がワントラムの重症腎不全患者への投与を禁忌としているのだが…


電話で聞くと、透析患者≒重症腎不全患者という考えではなかったようで、やや喧嘩腰に反論されてしまった。


もっとも、腎不全患者には禁忌でも、透析または無尿患者には禁忌でない、というものが存在するから、この医師の考えは間違いではないのだ

腎不全患者への投与が禁忌の理由として、代謝が遅延した結果、さらなる腎機能の悪化を招くから、というのがその理由だ。

透析している以上、腎代謝機能を透析機器に依存しているのだから、そもそもこれ以上悪化しようがないのだ

例として、NSAIDSがこれに当たりやすい


代謝の遅延したNSAIDSは腎機能を悪化させるが、透析患者においては用量調節をそれほど必要とされない。


ただ、トラマドールは話が異なる。
包合され、腸管循環する特性を持つため、透析患者においても用量調節を必要とする薬剤なのだ


そして、ワントラムは徐放性。

トラマドールの普通薬であるトラマールは、投与間隔をあけることができるがワントラムはそれが不可。

だから禁忌になっている。


という旨を説明したら、
じゃあ、トラマールで出すわ。


と、丸く?収まった。


ちなみにトラマールでも、用量調節をしないといけない。




で、これが話題になった翌週、今度は透析科でトラムセットが処方された。


添付文書上では禁忌となっているが、実は過去にも処方歴があったため、医師に問い合わせる前にメーカーに問い合わせた。


するとやはり、透析でトラムセットを使うのは割と普通なそうで、CKDガイドラインによると、用量調節をして用いるとのことだ。

ただ、欧米ではccr10未満の患者には推奨されないとなっているため、


完全に医師の考え任せに近い。


なので、どうしても出す場合は、健常人の25%まで。

トラムセットは8錠がMAXなので、


透析患者には2錠、それも朝夕分2で、ということだ


改めて患者の処方を見たらなるほど、1錠分1だった。



うちの門前の医師は正直かなり疑義照会をする頻度が高いので、いちいち疑わなければならないが、
この透析科の先生は非常に用量調節には厳しく見ているので、こちらが後から納得することが多い。




何にせよ良い勉強になった。

ちなみにトラマドールもNSAIDSも透析では除去できないので


投与してしまって毒性が出てからでは遅いんだよね。



たぶん、薬剤師国家試験においては


毒性・解毒法の分野で問われることがあるかもしれない透析性。


薬物の中には透析で除去できるものとできないものがあり、除去できる毒物は透析で除去することがある。


ちなみに透析性に関わる要素として
分子量
たんぱく質結合率
分布容積

などがあり、

賢い薬学生なら

どれがどうなると透析されやすいのか、


分かるよな。



たんぱく質結合率が高いと、透析は血液を機器に通して回すわけだから、たんぱく質に結合した薬剤までは完全に除去できない。

分布容積が大きいと、薬物は血漿より組織に移行しているため、除去率が下がってしまう。

ちなみに脂溶性が高いほど分布容積は大きくなりやすい性質を持つ。


何が分布容積が大きいか、小さいか。
代表的な薬物がここで浮かばなかった奴は今すぐこんなブログ閉じて勉強するんだ

【薬】チラーヂン。

めっちゃ寒くなってきた……。

 

 

この間までは暑い暑い言いながら通勤してたっていうのに

 

 

よう、俺だ。

 

 

特に何か目的があったわけじゃないが

 

日常的にまとめておきたいことができた時にはブログってのは便利だな。

 

 

うちをかかりつけ薬局にしてるとある患者さんA。

 

60代の、女性だ。基礎疾患はそこまで多くない

 

恒常的に飲んでいるのもGERD予防のPPIと痛み止めだ。

 

今回の処方には、マグミット(水酸化マグネシウム。汎用される下剤だ)が追加されていたので、便通が悪いのかな~と思いながら服薬指導をした。

 

お薬手帳には、先月から他の病院でチラーヂン(レボチロキシン)50μgが処方されている。

他のページを見ても載っていないので、恐らく初処方なのだと思われた。

 

なので、飲み合わせのイメージギャップも埋めるため、それとなく聞いてみたら、

案の定甲状腺腫による摘出術を受けており、チラーヂンを飲まなくてはいけなくなったようだ。

 

だが、今処方されているものに特に相互作用的な問題は無さそうだったので、便通の調整に気を付けつつ、とだけしか言わなかった。

 

 

ところがどっこい。

患者さんが「この便秘薬はね~、朝晩で出てるけど昼晩にしようと思うの。朝は甲状腺のコレ(チラーヂン)があるから~」

 

と言う。

詳しく聞けば、どうやら他の薬局で、チラーヂンと同じタイミングでマグミットを飲まないようにと言われたようなのである。

 

かなり真剣に考えているようだったので、はて…と添付文書を確認してみる。

 

レボチロキシンの作用に影響を与える大きな薬剤のひとつは、金属イオンとキレートするということである。

 

主に、沈降炭酸カルシウムや、水酸化アルミニウムなどの制酸剤。

あとは、鉄剤だ。

亜鉛も注意が必要。亜鉛というとサプリメントを思い浮かべるが、ポラプレジンク(プロマック)も亜鉛を含んでいるため、注意が必要だ

 

だが、Mgは調べてみたがレボチロキシンに対しての吸着能がほとんどないそう。

同じ2価のCaイオンは吸着するので、科学的にちょっと理由が分からずお手上げであるが、

汎用されているMg製剤(しかも1回量0.5gとかとんでもない量)を併用しても記載されないくらい影響がないようだから、

 

これはさすがにやっかみもんな投薬をしたのかなあ、と思わんでもない。

 

もしくは、金属の含まれる薬とは間隔をあけてくださいね、とだけ言われたのかも。ご高齢だから、いちいちカルシウムがうんたらというよりは分かりやすい。

マグミットと聞いてそう反応したのだから、ほぼ間違いなくマグミットと伝えられた可能性の方がでかそうだが…

 

もっとも、甲状腺ホルモンはかなり微量(単位を見ても分かるが、1回量がおよそ0.05mg~0.1mgなのである)なので、ちょっとしたキレート物にかなり影響を受けてしまうことを考えたら、マグミットの飲み方が変わったところでそんなにQOLに影響与えないから、そっちの方がいいのかなあ。

 

 

ともあれ、この患者さんは特に併用注意の医薬品が無かったので良かったが、

甲状腺摘出後で一生T4製剤を飲まなくてはいけない患者には、きわめて併用薬のチェックは重要なのだ。

 

もし、キレート作用で効果が出なくなったら代謝に関する機能の大部分が奪われるし、

 

それで医師が用量を増やしてしまったら…

 

キレート医薬品を飲まないタイミングで急に血中濃度が上昇し。

 

不整脈。からの続発性疾患

 

に繋がることまで考えないといけない。

 

 

もっとも、透析患者でガンガンチラーヂンと毎食後の沈降炭酸カルシウムを併用している患者なんてたくさんいるから、

 

そこまで深刻なケースはあまりないのだろうけどね。

 

でも透析患者のレボチロキシン投与量を見る限り、やっぱり100μgを大きく超える用量を服用している患者が多いので、

 

多少なりともキレートしてんのかなあ、ってね

 

 

 

あとどうでもいいけど

 

認定薬剤師の単位を取り終えて

 

来月には認定薬剤師の申請ができるようになった

 

かかりつけ薬剤師の算定には実務経験3年が必要なので

 

まだまだ点数が取れるわけじゃないんだけど

 

他のチェーンとかみると、地味にかかりつけ薬剤師の点数をボンボン取っている所はあるらしい。

 

まあ、1割負担の患者なら1回70円だし

 

さっきも言ったように多剤併用でのリスクマネージメントが出来る意味では

使い勝手はあんのかなーって気はするね

 

 

まあ俺は少なくとも老人になるまでは使わねー気がするが。

210円取られるくらいならその金で酒を買う…

 

つーか自分でできるからいらねーw

第102回薬剤師国家試験が近づいているらしい

気付けば1か月も間を開けてしまった。

 

 

書くことは色々あるのだが…日々の業務がなかなかに忙しいのと、

 

最近認定薬剤師の単位を取るのに奔走しているから時間が無いのが本音だ。

 

 

 

で、まぁ。

 

もう半年経ったわけだ。

 

ということは、次の国試までもう半年無いわけだな。懐かしい。

 

 

昨年の2月辺りは毎日青本とにらめっこしていた気がする。

 

 

今や青本の中の知識なんて、法律関連と実務と薬理薬物治療くらいなもんで

化学とか物理とか全く抜けてるに違いない

 

正直な話

 

仕事の中で使うことを考えたら

 

物化生って本当に使わない

 

せいぜい菌・ウイルス系くらいかね…

 

逆に 薬理薬物 あの辺は

 

完璧にこなせないと就職してから勉強するはめになるということはよくわかった

 

 

職場仲間で、現職の先輩達が調べてるのを見ると本当にそう思う

 

 

点を取るためじゃなくて仕事として使うためにやるって考えると

 

モチベも上がる気がする

 

 

 

もう過ぎた話だが

 

夏休み終わって卒論提出して、一息付いた頃なのだろうかこの時期の薬学部の6年ってのは…

 

恐らく模試の1回目くらい終わった所だと思うが

 

 

あの時はまだ本格的に勉強するなんて心構え、無かったな

 

1回目の模試で170点くらいだった気がするが

 

その後模試3回で40点伸ばして

 

本番は280点だったことを考えると

 

半年でおおよそ100点前後は 伸ばせるわけだ

 

 

あんなに勉強サボって、

 

直前くらいしかまともに勉強しなかった俺でも

 

そんくらい伸びたんだから

 

 

まともにやれる奴ならもっと伸びるだろう

 

150点くらいでも全然問題ないし

 

130点でも普通に諦めるレベルじゃあないな

 

もっとも

 

102回が99回みたいな

 

クソみたいな難化

 

 

してたら話は別だが

 

 

要はこの時期の模試とか

 

5年間やってきたのがどれだけ身についてるかどうかなだけで

 

あんまり関係ないんだよな

 

 

薬学部予備校の講師は

 

 

この時期に170~点あると合格者の平均点

 

~160 くらいが不合格者の平均点 と脅してくるが

 

 

冷静に考えればそりゃ1万人の平均値を出せば

 

最終的に225点以上取ったグループの3か月前の方が 取れなかったグループの3か月前より低くて当たり前…

 

 

あれに気を取られて

 

予備校の授業を一字一句真に受けてたら

 

時間も集中力も足りない

 

 

6年次の予備校の授業

学校の授業

 

 

のほとんどは、全く分からない奴に最適化されてる分

 

 

時間に対しての効率はすさまじく悪い

 

 

プリントだけは暗記や要約されてるので

 

資料として使う分には悪くないが

 

 

国家試験に受かる為には

 

 

授業や予備校の講義をまともに受けない(ただし卒業のための単位が掛かってくる場合を除く。卒業できなきゃ意味ないからな)

 

どうしても意味不明でまったく手つかずの授業だけ↑をアテにすればいい

 

自力勉強は青本を中心に

 

赤文字太文字に着目するのも大事だが

 

そのページが何を言いたいのか 全体的に把握することの方が大事

 

青本勉強をするにあたって絶対にやってはいけないこと

 

青本の内容をノートに写して いわゆる「書いて覚える型」学習

 

 

これ、意味ない上に時間だけムダにする

 

しかも本人はやった気になるからタチが悪い

 

 

大学入試ならともかく、国家試験はマークシート式…

 

問題を解くのに必要なワードは問題文に書いてある

 

ワードを関連付けるのに、いちいち別の紙に移しても意味が無いんだぜ

 

 

どうしても暗記物をまとめたいんだったら、

 

青本をコピーして切り貼りしろ。

 

構造式なんかもそう

 

ベンゼン環の書き方がうまくなるだけだぞ

 

 

頭の中で内容を整理しながら、青本を読んでいく

 

だらだらと読み流すのは意味が無い

 

できるならぶつぶつと呟きながらやってもいい

 

何回読んでも理解できない所だけ、図解しながらノートに書くといい

 

特に計算式・公式なんかはな

 

 

もっかいいうぞ

 

 

青本をノートに書き写す時間があったら、その部分を3回読んだ方がマシ

 

 

ちなみに今からだとおよそ4か月半で本番を迎えるわけだが

 

130日あれば、青本10冊が5周ずつはできる。

 

今日は●● 今日は××と

 

科目を区切って 1日200から300ページくらいを目安にやると捗る

 

最初のうちはめちゃくちゃ時間を要するが

 

集中力を維持するために2時間に30分くらいの休憩を入れても良いだろう

 

あと個人的に

 

勉強するのはどこでも構わないが

 

誘惑に手を触れられない環境に身を置くのが大事だ

 

 

PCが目の前にあると調べものはできるが勉強の阻害になることもある

 

 

スマホも同じだ

 

 

だから俺は、勉強期間に入ったら、PCの無い図書館で、スマホの電源を切ってカバンの奥に入れていた

 

 

それでも触ってしまうなら家に置いてきてもいい

 

 

 

ともかく来年の受験生が成功してくれることを祈る。グッドラック。

 

 

~~~~ここからいつものどうでもいい日記~~~~

 

 

最近の仕事の動向でホットなのは

 

 

エチゾラムとゾピクロンが向精神薬に指定されたことか。

 

 

日数制限は11月からだが30日指定。

 

 

当然、向精神薬なので個人輸入も許可なくすることはできない

 

 

アモバンはともかくとしてデパス心療内科で依存率の高い薬剤だ

 

 

今までは個人輸入でアホみたいに乱用するバカも多かったらしい

 

 

かくいう俺も昔毎日0.5mg服用していたことがあるが

 

 

薬に依存して良いことなんか あんまりないと思う

 

 

12患者はともかくとして

 

 

心療内科を継続的に受診している人の状態を見れば

 

 

社会的に良好な状態とは言えないんだろうな

 

 

これは精神薬に限らず

 

糖尿病薬 脂質降下薬

 

にも言えることで

 

 

薬に長期的に依存することに良いことなんてないだろう

 

 

もっとも、自分の意思とは裏腹に、服薬をしなければならない人は話は別だがな。

 

 

糖尿病薬が今まで2種類+インスリンから、3種類+インスリンに変わった患者が来た。

 

彼曰く、HbA1cは2桁を窺うかどうかの所で推移しているらしい。

 

体格を見れば不摂生なのはわかる。

 

「なかなか血糖値落ちないんですよね~」

 

 

果たして笑っていられるのはいつまでだろう…

 

 

俺達は生活指導はできるけど、

 

 

本人に全くやる気が無い時の投薬ほど難しいものはない

 

 

結局、副作用管理や重複投与、なんかのアセスメントはできるが

 

本質的な病態へのアクセスは本当に難しい

 

それは医師の仕事であって薬剤師の仕事じゃねえだろ と言われればそれまでだが

 

医師だってそうだろう

 

HbA1cが10%近い患者の血液検査を見て、運動療法と食事療法をやらなければ薬だけでは厳しい――とは言えても

 

それで患者がやる気を出さなければ意味が無いのだ

 

 

俺は、まだぺーぺーの新人だけど

 

透析治療をしている患者を毎日のように見ていれば

 

自分の患者をこうはさせたくない

 

 

でもどうやれば道が切り開けるのか分からない

 

 

患者の方から、治療に前向きな姿勢を示してくれた時のアセスメントなら、俺は(むちゃくちゃ外来が忙しい時間でなければ)時間を掛けて向き合ってあげたいと思うのだが

 

 

 

もし、将来的な像として、あってもいいだろう、と思っているのが

 

 

健康サポート薬局+かかりつけ薬剤師

 

 

を表に置いた、

 

 

慢性生活習慣病専門薬剤師。

 

 

開局時間中に、処方箋が無くても、上記疾患についての相談を受け付けることができる。

 

患者が望めば、かかりつけ薬剤師(認定薬剤師)に療法上の相談をすることができて、

 

かつ、保険点数も付けることができる(月算定回数上限あり)

 

 

こういうのがあれば使いたい患者はひょっとしたら、居るんじゃないか

 

 

慢性疾患は、処方日数も2か月とかそんな感じだから

 

年に4~5回しか 病院に行かないことも多いんだよな

 

んで、慢性疾患だとコントロールできてるかが重要だから

 

医師のアセスメントもそう時間を取られない

 

 

結果、いつまでもだらだらとした投薬が続くのだ

 

 

医師は忙しいから、健康上のサポートに時間を割くことは難しい

 

 

しかし今後薬剤師が飽和してくるなら、

 

 

こういう処方箋がなくても、薬局に来られる

 

 

っていう像があっても悪くはねえなと思うんだよな

 

 

 

先日 某クソアナウンサーが透析患者批判で大炎上して無職になったらしいが

 

 

ほんのごく一部、確かに不摂生が止められず結果的にそうなる人も居るのだろう

 

 

だったら、患者を恨むんじゃなくて

 

そういう患者を減らす制度ができた方が

 

 

結果的に透析患者が減り、公費の負担が少なくなるんじゃなかろうか。

 

 

ほんと、切に願うぜ。

 

 

【薬】透析治療の処方①

よう俺だ。

 

 

最近は忙しすぎて連休でも無いと書けなくなってきた…。

 

 

前回言っていた通り、透析の薬理学的アクセスのさわりだけでもまとめようと思う。

 

 

まず、前提条件として、透析はその原疾患があることが多い。

全部ではないが、糖尿病や高血圧、慢性糸球体腎炎なんかがそうだ。

だから、多くの透析患者はその治療も平行して行っていかないといけない。

そして、その治療薬と、透析との相性・腎機能との相性も随時確認していかねばならないから…

 

非常に薬学的にも負担の高い疾患だ。

 

その中でも特に使用率の高い薬剤について今回は書く。

 

・糖尿病治療薬

透析患者の中で、血糖降下薬を服用している患者はかなり多い。

その状況も多岐に渡り、

インスリンを複数本大量に打っている人も居れば、

DPP4阻害薬単剤な人も居る。

 

ただし、血糖降下薬はその多くが腎排泄であるため、

使われる種類は実はそんなに多くない。

 

αGI…アカルボースやミグリトールなど

即効型インスリン促進薬…レパグリニドなど

DPP4阻害…~グリプチン

(余談だが、リナグリプチンとテネリグリプチンは、腎機能低下による減量の必要がない。)

 

基本はこの3剤。

最近は、SGLT2が臨床での実績を積んできたため、レジメンに加わってくるかもしれない。

エンパグリフロリジン(ジャディアンス)は、腎機能の低下に抑制効果が働く論文が最近出てきたので、うちの透析科からもそろそろ使われるかも?

 

・高血圧治療薬

こちらも糖尿病薬と肩を並べて登場する機会が多い。

ARB、Ca拮抗薬(特にアムロジピン)は汎用される。

利尿薬(トリクロルメチアジドやフロセミド)も多い。

透析患者は自然とカリウムが高くなっていく傾向があるので、

低Kへ誘導する利尿薬はその狙いもあるようだ。

逆に、K保持性の利尿薬はあまり出てこない。

β遮断薬の使用率は低め。いずれにせよ基本は腎保護作用のあるARB、ACEが代表的だ

 

・リン吸着薬

透析患者のすべてが飲んでいるわけではないが、腎不全患者以外が服用することの少ないもの。症状が重くなるにつれ、お世話になることが多い。

 

基本は、食物の中のリンと胃の中で合体して、吸収されずに体外へ排泄する。

そのため、食直後(一部は食直前)服用が徹底されないと、意味が無かったりする。

吸着薬にも色々あるが、

沈降炭酸カルシウム

ランタン(ホスレノール)

クエン酸第二鉄(リオナ)

が特によくうちでは使われる。

沈降炭酸カルシウムはカルシウムを含むため、

リンが高くなりPTH亢進、二次性の低カルシウム血症を起こしやすい透析患者とは相性が良い。

ただし、慢性投与でカルシウムが高くなり、血管の石灰化を招きやすくなるところも注意点。

リオナは三価鉄を含む。吸収がよくないので鉄剤ほど鉄としての効果は出ないが一応鉄が高くなるリスクはあるらしい。

また、便が鉄で黒くなる。

 

・カルシウム、ビタミンD補給剤

前述のように、末期腎不全患者はカルシウムが低下しやすくなっているので、ビタミンDを補給することでカルシウムの生成を優位に働かせる。

アルファカルシドール内服

それから院内で注射薬としても出されている

要は骨がもろくなるわけだが、ビスホスホネート製剤は腎排泄のためそれ以外の薬で対処していくことになる。

 

(・造血)

院外薬局で出ることはないが、腎機能が悪くなるとエリスロポエチンが低下して腎性貧血を起こすことがある。

故に、エポエチンの注射が院内で出ることがある。

 

血栓防止薬

透析では、血液を一度体外に出して、機械を通してまた戻す。

ただ、血中の血小板や凝固因子は生きているので、機械に触れたこれらの因子は凝固を起こすため、患者の血管イベントが増加する原因になる。

注射で、院内からヘパリン製剤が出るのだが、それだけでは足りないので、内服で抗血小板薬が出されることが多い。

ワーファリンやシロスタゾール、クロピドグレルが代表的だが、昨今、第Xa因子阻害薬の登場により急速にそのシェアは伸びている。

高齢の患者が手術をする際に何日間も中止しなければいけないのは、隔日で透析をする患者には不適だし、ワーファリンはPT-INRで容量調整する必要があるからだ。

アビキサバン、リバーロキサバンがうちでは多い。

 

・抗ヒスタミン、レミッチ

透析患者はかゆみを訴えることが非常に多い。もともと、通常の成人と比べて皮膚症状が多くなったり、透析の影響で血管掻痒が増えるため、透析年数の多い患者ほど慢性的に抗ヒスタミン薬を飲んでいる。

なお、レミッチ(ナルフラフィン)はヒスタミンと違い、オピオイドK受容体を遮断することによってかゆみ感覚を抑制する。透析におけるかゆみ専用のような薬である。

 

・昇圧薬

アメジニウム

ドロキシドパ(ドプス)など

透析時には、血液を一時的に引くため、体にとっては失血するということだ。

故に、血圧が下がる。低血圧を防ぐため、透析前および透析後に内服する。

 

 

 

・シナカルセト(レグパラ)

上の方でも書いた、副甲状腺機能亢進症に対する薬。

 

・便秘治療薬

マグミット、センノシド、アローゼン顆粒、大建中湯など…

単純に高齢の患者が多いからだろうが、便秘気味の患者が多いので、見る機会も多い。

 

・抗不安、睡眠薬

一般の外来患者と比べると処方率は高い。

あまり腎機能を考慮しなくても良い薬が多いせいか割と種類を選ばず出る。

 

・その他漢方

芍薬甘草湯…脚がよくつるらしく、透析の中では汎用処方。

 

 

こんなところだろうか…

同じ患者でも、多剤併用の多さといい、種類といい、一線を画している。

薬剤師によっては全くかかわらない分野になるかもしれないけど、分野としては決してニッチではない時代に突入してきていることだし。

 

腎機能の在り方も含めて勉強する意味合いは強いのではなかろうか。

【薬】シムビコートのSMART療法

いつもより更新間隔が狭いのは、割とカルチャー違いな処方が出たからだ。




というわけで、俺だ。




気管支喘息の治療方法として、




薬学領域では以下のように学ぶ。



気管支喘息の病態は、気管支が炎症などにより狭窄していること。
アレルゲンや寒気などにより、気管支の収縮が起こり、狭窄部が閉塞して喘息症状を呈すること。

その診断は一秒率、肺活量により決まり、

治療としては
長期的に炎症を抑えるステロイド

短期的な発作を抑えるβ2刺激薬
(β2受容体はGsタンパク型で副交感神経興奮→気管支拡張、だ)

に分かれる。前者をコントローラーと呼び後者をリリーバーと呼ぶ。


治療上留意しなくてはならないのは

ステロイド薬を使用したら必ずうがいをすること
(残留ステロイドによる感染症を防ぐ)

リリーバーは発作時以外には使用しないこと
(β2受容体アゴニストは吸入薬でも気管支に完全に選択的ではない。心臓β受容体にも作用し、不整脈を生み出す。日常的な過剰な使用は心停止を招く恐れがある)


国試レベルならこれくらい抑えれば基礎は大丈夫なはずだ
ちなみにβ刺激薬は●●テロール(ツロブテロール、サルメテロールなど)、β拮抗薬は●●ロール(プロプラノロールなど)だ。

ツロブテロールは長時間作用型で貼付薬に用いる(みんな大好きホクナリンテープ)
サルメテロールは、β刺激薬だが、長時間作用型なので基本的にはコントローラーとして用いる


プロカテロール(メプチンエアー)は、短時間作用型のβ刺激薬だ。いわずもがな、リリーバー。


β受容体関連で薬剤師国家試験で覚えるべきところはあとは、
COPDに適応のあるもの
レンブテロールやミラベグロンなど、特殊な適応をもつもの
くらいかな。
ISA+とか-とか、その辺はいらないんじゃないかな
仮に出たとしても現場じゃ使わない
医者が処方の際に参考にするかもしれんが
現実問題気管支喘息の治療薬はほとんどが

シムビコート(ブテゾニド、ホルモテロール)
メプチンエアー(プロカテロール)
フルタイド(フルチカゾン)
セレベント(サルメテロール)
アドエア(サルメテロール、フルチカゾン)
ウルティブロ(グリコピロニウム、インダカテロール)
シーブリ(グリコピロニウム)
オンブレス(インダカテロール)
レルベア(ビランテロール)


みてわかる通り、ステロイド単剤か、長時間β単剤か、その両方かだ
上記のうち、メプチンエアーを除けば基本的にはコントローラーとして使用する。


ただし、今日出た処方は、シムビコートをスマート療法で…


とのことだった。


スマート療法とは、
シムビコートのようなコントローラーで使うものを、発作時に屯用で使う


療法のことだ。
これ、2013年に適応取ったらしいんだけど


全く知らなかった。授業でも聞かなかったし…



同じようなβとステロイドの合剤はアドエアやウルティブロは、この記載は添付文書にない。

そもそも、ウルティブロはカプセル型だから屯用に向かないのだ

シムビコートと比べてアドエア(ディスカス)は、患者の吸う息が弱いとあまり意味がないから、発作時で吸う力が弱っていると使えないだろうな



という、シムビコートの隠れた特性をいまさらながら知った素人薬剤師なのであった。



これ、うちの管理薬も知らなかったみたいでちゃんと勉強してから投薬したぞ。w



まぁこんなの国家試験には出ないだろうけど

長時間β刺激薬でも発作時に使える薬はあるってことで。