ごちゃまぜ浮浪録

新人を脱しつつある肥満薬剤師が薬学部生向けに日頃のあれこれを偉そうに語るブログ

【薬】季節も早いもので

気付けばもう秋深まる感じになってしまった。

 

毎年話題にしてることだが、この時期に入るとどうしても薬剤師国家試験に本格的に入る受験生が多いことを頭をよぎる。

 

既に卒業して何年か経っても、毎年のように後輩に勉強方法だとか、実務実習の質問だとか、あとは就活相談を受けるから考えることは多い。

 

次は第103回薬剤師国家試験、だろうか?

 

試験の様式も数年おきに変わるだろうから、俺みたいなのがとやかく言うことではないんだろうけども

 

できればちゃんと勉強してきたヤツには受かってほしいし、

 

国家資格でドラッグストア年収ウマウマ!勉強なんてテキトーでイイッショ!スタイルを6年貫いてきたヤツには頼むから数年落ちて諦めてくれと思っている。

 

 

んで、前年度も勉強方法について書いたので、

 

今回は別視点からでも。

 

 

既に書いたエントリーをほじくりだして読んでもらえば分かると思うのだが、

 

俺は卒後就活をしている。そして短期間で多数の面接を受け、そのほとんどから内定書をもらった上で比較して入社した。

 

結果的にそれは大正解ではなかったにしろ、まず後悔するような選択ではなかったと思っている。今のところは。

 

 

じゃあ、実際。

4年は今頃実務実習の準備を始め、

5年の今頃から就活準備を始め、

6年はいよいよ国家試験の準備を始めるこの秋

 

 

学部生や受験生に知っておいてもらった方がいいカモ?

と思うナマの声(ただし1名分だが)を書いておこうと思う。

 

 

 

~薬学部生 4年編~

 

※注※俺の在学中は 病院3か月 薬局3か月 のカリキュラムに基づいた経験しかないので、今後の体制変更に伴う感覚のズレは考慮しない。

 

 

4年秋。

CBT、OSCEを控える中、

多くの専門科目をこなして単位を取らなければならない時期。

薬学部における1つ目のヤマ場。

 

その二つを越えたあとには実務実習が待っている。

 

まずCBT・OSCEについてだが。

学校のレベルが一定以上であればまず学生側が心配する必要はないだろう。

 

授業通りのことを合格点以上やればいいだけ。

CBTについては合格点を取れるまで、授業のスキマに過去問や類題集を解いて自分の中に答えを染み込ませること。

 

付け焼刃的なことを言えば、問題を理解する必要はない。選択式回答型なのだから、この問題のこの問われ方はこの選択肢――とおおざっぱに結び付けられればいいのだ。

 

国家試験ではそれではだめだが、CBTでは単語と単語の紐付け力が問われる。

 

それから、一発勝負とか言われるが、たいていは合格点を取れなくても再試があるし、大学のシステムによっては学内上位何%を通らせる理屈で通ってる所もあるから、

1回出来なかったからといって悲観的になるのはやめよう。

 

CBTごとき、上から目線で見てやればいいのだ。

(という話を現役時代にされたが、ブルっていた俺。)

 

一応、落ちる奴は落ちる。でもそれは、学内で1番不真面目な奴。再試になっても無勉で受けるような、そういう不届き者が1人か2人、落ちるだけだ。

ちゃんとしてるやつは落ちないから心配しなくていい。

 

OSCEについては少々理屈が異なる。

 

学内、または定められた施設で実技を行うわけだが、

一言も発せない大変異常な空気の中、他大学の教授らの「(学生から見ると)コイツを落としてやるぞ、ククク……」みたいな目線に晒される。

 

本当、あれほど圧迫面接みたいなことをしてくる試験は他にない。

ていうか、実際の現場でもあそこまで慎重を強いられるのなんて安全キャビネットでの抗癌剤の調製くらいだ。

 

水剤や外用剤の余製(あらかじめ、出される混合処方について作っておくこと。風邪薬の飲み薬や、軟膏の定型混合などがこれにあたる)なんて普段は雑談しながら作るもんだし、

 

TPN(中心静脈栄養のこと。経口で栄養摂取できない患者や、末期の療養病棟などの患者に、1回4~12時間をかけて1日分の栄養を入れる手法)の混注(注射剤の混合調製。クリーンベンチなどを用いる)は厳かではあるが実習中は指導の薬剤師がちゃんと見て指摘してくれる。

 

服薬指導は最初は緊張するだろうが、誰だって初対面の他人と一定の空気感で会話、なおかつ指導を行うのは緊張する。そこは学校の授業の中でいくらでも失敗して練習しておくのが良い。

 

 

まぁそれはとにかく異質な環境の試験だから、OSCE前にある大学での実技講義はしっかりと望んでおこう。ここを適当にやるやつは本当に落ちる。CBTよりもウチの場合は落ちる頻度が高かった。それでも学内に3人とかだが

 

気持ちの面でも勉強の面でもしっかり準備をすること。

それさえやっていれば自信を持っていい。

 

 

~薬学部生 5年編~

 

 

実務実習・薬局。

 

所属する薬局にもよるが、基本的には調剤・服薬指導・服薬管理がメインとなり、それに付随する薬剤管理・法令順守・混合、散剤、水剤調製・そのほか知識や薬剤師としてあるべき事(災害時であったり、学校薬剤師、薬物乱用防止の第一人者であること、OTCの知識など)を補完的に他薬局でやったり、座学をやったりする。

 

学生にとっては慣れてくると若干ヒマに感じたり、つまらなく感じたりすることもあるかもしれないが、個人的な体験として国家試験の実務領域ではこの実務でやったことの多くが出題されるため、やって損になることはない。

 

それからこれは残念なことだが、実習先の環境があまり良くなく、学生を小間使いとしか思っていない薬局経営者やパワハラまがいの指導しかできない残念薬剤師は必ず存在する。

 

もし実習中に不安に思ったら、まずは大学側の指導教員にメールか電話で相談しよう。早めに動いておけば、深刻なことにはならない。

薬局を移動して実習を続けたり、期をずらして再修することもできる。

思い悩んで休むより、マシだ。

 

 

病院編では、薬局でも行った調剤をはじめ、注射剤の調製、病棟業務、抗癌剤の取り扱いおよび関連法規、など薬局とはまた違った実習になる。

 

病院の規模によってやることは様々だが、退屈はしない現場にはなるはず。

それだけに実習先から求められる知識は多くなるので、学生だからといって知らないでは済まされない対面は出てくる。

 

実習中でも予習復習しておくと、吉かなとは思う。

 

 

実習が終わればいよいよ就活準備がはじまる。

 

……といっても、薬学部の場合は他の学部の就活とはやや状況が異なる。

 

所謂自己分析であったり、セミナーとか、SPIだとか、世間一般に言われる就活とまた違う。

 

薬剤師は売り手市場が過剰すぎるがために、基本的にはどの分野に行っても大幅に就活で困ることは無い。今の段階では。

 

春口から夏にかけては全国の大型チェーンドラッグストアや調剤薬局が新卒の一括採用に向けて大学で講演をする機会が多いだろう。

 

病院薬剤師は数が限られているため、絶対に病院!な学生は早めに大学の就活相談を受けながら採用枠を出している場所や場合によっては必要な試験対策、面接対策をした方がいい。

 

MR、研究職については他学部生と同じく綿密な準備が必要だが、研究職については学部卒から取る印象はあまりないようだ。酷な話だが、有名大学の一ゼミから何名、等のコネクションがカギを握っている場合もあるので一般私立大卒の俺からはちょっとこれについては何も言えない。(うちの研究室にも某化粧品会社の研究開発部門へのコネがあるらしかった)

 

多くの薬学生は秋までに内定を決める。

 

学生なりに、チェーンに所属するにせよ、条件がどうとか、働きがいがどうとか、選ぶのだろう。

 

ただここでは、卒後就活して10社以上経験した俺なりに、「ぶっちゃけどうなのよ?」ってことを書こうと思う。

 

 

就活の参考にはならないかもしれないが、一応現実にある話だ。

調剤薬局をベースにしているから、病院関連は手薄だ。

 

・ぶっちゃけ給料どうなのよ?

 

「会社の規模がデカいほど、基本的に手厚い。」

 

全国展開している、県内に何店舗もある

などのチェーンは薬局でもドラッグストアでも、他を圧倒して高い。

 

俺の内定書では、

全国規模調剤薬局A(OTC扱いは少なめ):520万(みなし残業除490万)

 

全国規模ドラッグストアB(OTC扱い多、その他雑貨多):480万

 

中規模(全国50店舗以下)・在宅特化調剤薬局C420万(一般社員)/510万(幹部候補)

 

小規模(全国5店舗)・総合病院門前異動なし調剤薬局D:420万

 

小規模(個人経営)・クリニック門前異動なし調剤薬局E:350万

 

中規模総合病院、救急病院F:360万

 

 

異動が県単位で考えられるような全国規模(あるいは他店ヘルプもある)薬局は、新卒でも500万からの求人は少なくない。

逆に言うと、全国規模でこれより少ない所はなんらかのワケあり。

 

今時、仲介業者を通してまで薬剤師の争奪戦をやっている中で給料をシブる所は休みが多いか、人手に余裕があるか、それかなんらかのワケあり。

 

俺が今居るところがそうだが、比較的移動の少ない、あっても県内・市内の中小規模薬局はどこも400万前半から450万といったところだ。

 

最小値は350万で、ここは個人経営。実際に見学で行って悪い環境では無さそうだった。調剤補助のテクニシャンが数多く所属しているため、薬剤師のやる仕事が少ない分目減りしているのかな、とも思ったが。

 

病院は…正直これはどこに行ってもそうだが、役職が付かないなら給与には期待しない方がいいとは、同期からもよく言われる。

 

夜勤や時間外勤務などは、昨今医師の過労死問題を受けてようやく全国の病院が動き出しているため、薬剤師にとってもいい動きにはなっているかとは思うが、それが賃金の引き上げに繋がるかと言われるとまた別問題らしい。

 

まぁ、医師の給与が右肩上がりで診療報酬がマイナス改定を受けていれば、DPCがメインの病院では薬剤師の給料に割くわけにはいかないだろうし

 

・ぶっちゃけ休みどうなのよ?

 

概ね上の給与に反比例する。

 

500万規模の企業では、年間休日105~112日が多かった。(有給、夏季冬季休暇別)

恐らく週休2日+祝日という意味合いで間違ってないとは思う。

勤務時間はおおよそ週40時間でシフト制を取っているところとそうでないところがある。

 

上記の幹部候補を養成する企業では、週42時間+残業アリと少し多め。

 

400万規模の企業では、週休2.5日制や週休3日制を謳う所がそれなりにある。

薬局は調剤報酬の改定で、土曜日も開ける所が多くなってきているため、

土曜日の半ドン、あるいは平日の半ドンを用いている所がある。

 

それに伴い平日4日+土曜出勤 という形を取っているのだろうと思う。

 

ウチも週6で開いているが、だからといって毎週土曜日出勤しないといけないかと言われるとそうじゃない。月2くらいで、順繰り回している。

 

有給に関しては基本的に取れる業種だとは思う。

ただ、個人経営や小規模の薬局は薬剤師の数が慢性的に不足していたり、緊急時に他店舗からヘルプできない不安定さがあるため、

 

店舗によってはなかなか有給を取れる日が少ない所はあるだろう。

ただ世間一般よりは消化しやすい。その程度の認識だ。

 

・ぶっちゃけ働き甲斐どうなのよ?

 

調剤薬局に努めているが、正直かなりある。

 

これは働いてみないと分からないことだが、カウンター外で見る薬剤師と、実際の薬剤師の世界は全然違う。

 

医師の処方通り出すだけでしょ??

 

なんて言われることも多いが、医師がそこまで完璧な人間ばかりだったら誰も苦労しない。

 

処方ミスなんて日常茶飯事だし、昨今は他科受診が跋扈してきたせいで併用薬の確認の重要度合いはかなりある。

 

これは個人的な考えだが、患者本人より病気に対して寄り添うことができるのが医師だと思っているが、その反面、患者がおいてきぼりにされていることを多々見掛ける。

そういった時に、いかに患者に近しい存在になれるかが薬剤師なのだと思う。

 

何故なら患者が家に帰るまでに接する最後の窓口が薬局だから。

ここで聞き逃したり、話し逃したら終わりだ。

 

 

薬間違えて投与=患者死亡、病院が調査-新潟:時事ドットコム

 

リフキシマ(リファキシミン)とリフキシマ(エドキサバン)が誤って処方され、結果的に患者が死亡した今有名な医療事故。

 

処方する医師が間違えたのもそうなのだが、文脈を見る限り途中で薬剤師が関わった可能性も否定できない。

 

尤も、高齢の患者に抗血栓薬が処方されるのは割とよくある話だから処方自体のミスに気付くのは難しいかもしれないが、

1日3回投与のリフキシマに対してリクシアナは基本的に1日1回投与。

 

これに気付ける機会があったのなら……薬剤師はストッパーになれたかもしれない。

(疑義照会した上で医師が通した可能性もあるけど)

 

 

こういう事件を見る限り、調剤薬局が揃えて出すだけ、なんてのは穿った見方だと思う。

疾患や疾病、病理や薬剤に対して幅広い知識と知見を持って、患者に寄りそうことができるなんて、

俺は良い仕事だと思うんだけどな。

 

これは別にドラッグストアを揶揄しているわけではない。

ドラッグストアはドラッグストアで、セルフメディケーションを促進する大きな意味合いを担っているのだから役割分担だ。

 

特に漢方薬なんかは患者の証と症状がピッタリ合えば無駄に受診しなくてもよくなるし、

逆にOTCを適切に使っても効果が得られない場合の受診勧告で0次医療をこなすことができれば理想的な医療社会に繋がるだろうし。

 

利益重視で言えば、ドラッグストアでそんなことをしても診療報酬が付くわけではないけれどな。

 

~薬学部生 6年編~

 

こんな記事を見ているヒマがあるなら勉強しろ。

 

もう1回目の模試が帰ってきた頃なんじゃないか。

 

予備校の講義は 根底から理解できてない所以外は 聞くだけタイムパフォーマンスの無駄

 

やった時間と集中力の質だけが点数に結び付く

 

綺麗にノートを取る時間はもう要らない

 

資料さえ揃ったら、あとは青本なりなんなりを何周も読み込むのが王道かつ重要

 

息抜きも大事だが

 

青本、全領域積んでみたらいい。

 

これを一周するのに自分は何日かかるのか。

 

あと何日で何周できるのか。

 

そもそも卒業試験は通るのか。

 

20代の大切な1年を浪人に費やしたくなければ

 

今からでも本気になることだ