ごちゃまぜ浮浪録

新人を脱しつつある肥満薬剤師が薬学部生向けに日頃のあれこれを偉そうに語るブログ

【どうでもいい話】医療人であるということの意味

今日日、医療に関わらない人間は居ない。

 

単純に、通院、入院、受診だけ考えても(美容整形やクリニック、整骨院は除く)

 

恐らく一生に一度も医療を経験しない人間はほとんど存在しないだろう。

少なくとも、日本に生まれ戸籍を持っている人ならば。

 

生まれる前の産婦人科、生まれた直後の検診なんかはほとんど自我が無いわけだから例外としても、生きていれば避けて通れない道。それが医療。

 

かくいう自身も二度の交通事故に遭い、救急車に運ばれること二度。

縫った傷で、未だに頭頂部は少しハゲている。

家族を例に挙げても、父方の祖父母は脳梗塞と腸閉塞の手術歴がある。

母方の祖母は腎不全で透析しており、祖父は大腸がん、前立腺がん、脳内出血、パーキンソン病等々で入退院を繰り返している。

母は甲状腺腫で摘出手術を受けた。父は重症の肺炎で入院し、そもそも毎年のように花粉症で受診をしている。

妹は昔から生理痛が重く、産婦人科、ウィメンズクリニックの常連だ。

 

一家族だけでも、年に何十回と医療を経験するわけ。

 

つまり、日本1億2千万人居れば、八十年で100億回、1000億回、ひょっとすると1兆回の受診があるわけ。この辺は統計を見れば推測よりもハッキリすると思うけど、とんでもない数の医療が駆け巡っているわけだ。

 

こうした側面を持つ属性は他にもあって、教育は誰しもが避けて通れないし、交通もそう。車産業だってそうだし、外食産業もそうだろう。

 

ただ、これらと明確に違うのは、医療はネガティブである、という顔を持つこと。

 

教育、交通、輸送、外食。これらは人の生活を豊かにするものであり、積極的経済動作とも言える。

行えば行うほど基本的にはプラスになるものであり、一般に対価を支払って良化をもたらすものだ。

 

一方で、医療は必ずしもプラスになるとは限らない。

受診した時点でその人間は患者という立場になり、病者というタグが付く。

病気を治す、という言い方をすればプラスになるではないか、と言われても、全ての病気が完治するわけではないし、悪化していくのをとどめるだけに過ぎなかったり、逆に正常な医療が行われてもマイナスになることだってある。

 

いやいや、教育でもマイナスになることだってあるし、何だって言い方を変えればそうだろ、と言われるかもしれない。

 

だが、上記と決定的に異なる点は、マイナスになったからといってそれを辞めたところでゼロには戻らないということだ。

 

単純なプラスマイナスだけでは説明不足になりかねないが、本質的に医療とは、マイナス産業なのだ。

 

マイナスになるため、多くの人間が一生関わる。

 

それなのになぜこの文化が紀元前から続いているかと言われれば、寿命という、いつかは必ずゼロになるものをプラスにできるからである。

 

多くの完治しない病を抱えた患者は、マイナスになってでも、寿命をプラスにするために医療に関わる。

 

 

因果な商売だ。

人がマイナスに傾いて行くのを、間近で、眺めていなければいけない。

 

時々、心苦しくなる。

 

自分は20代だが、通院する多くの患者は高齢者だ。

それも、慢性期の総合病院ともあれば、70代、80代、90代の患者はグっと増える。

 

自分と半世紀以上も年が離れ、文化も異なり、おおよそ残された寿命も異なる人間が、徐々に衰弱していくのを観察していれば、なんだか自分まで小さくなっていくような、そんな気がする。

 

透析の患者は、回転が早い。

1病棟50人ほどの透析患者が居れば、1年で1割が入れ替わる。その半分ほどは転院や長期入院などだが、残り半分は無くなる。

往々にして、安らかな最期では、ない。

 

体中がカレー色になり、黄疸の激しさで一秒を生きるのも苦しそうにしていた。

あんなににこやかにしていて、薬を持って行くと笑顔でチョコをくれた。

午前中に薬を渡して、翌日にはもうこの世に居なかった。昨晩、急変したらしい。

透析患者の急変は珍しいことではない。

朝あんなに元気にしていても、夜には激烈な最期を迎えることもある。

 

透析でなくても、慢性期の患者はあまり予後が良くない。

自分が今の薬局に配属してから、何年か経ったが、最初期に居た慢性期の患者は何人か直接訃報を聞いた。

数年で十キロ以上痩せた人もいる。

元気すぎてうるさいくらいだったおじいさんは、もうほとんど会話することもない。最近は、家族が代理で来局する。

 

受け持ちしている在宅(訪問薬剤管理)は、今年に入って5人が亡くなった。

この辺は本人も家族も終活を見越しているからか、そこまで激烈な人は少ないが、

それでも先週顔をあわせたときは元気だったのに、もうあの顔をみることもないのか、とおもうことがある。

そしてやっぱり、ある時を境に急激に元気が無くなっていたり…

 

二年も、毎月毎月訪問したのに、初めての人と言われたり。

 

マイナスの世界に生きるっていうことは、そういうことだ。

自分よりももっとそこに近い、終末期や看取りの病院の看護師さんは、逆に当たり前すぎて、気にしない人が多いんだとか。回転が早すぎて、いちいち気にしていたら他の患者さんがおろそかになる。

 

すげえ、って思った。

まだ学生で、病院実習でTPN混注を毎日のようにしていた時。

病棟業務で、自分が作ったTPNを使う患者を見に行くことがあった。

体中管だらけだが、すぐに亡くなりそうな人ではなかった。

最後に会話したのが16時。実習は17時で終わる決まりで、日誌を書いて17時半に上がった。その日の18時に急変して亡くなったことを、翌朝来た時に知った。

 

ずっしりと来た。

まだ祖父母は存命で、小さい頃から関わって来た身内が死んだことが一人もない自分が幸せすぎるからだろうか、どうも人が弱っていったり、死を迎えることを直視するのを未だに一人一人受け入れている。

 

どんなに全力を尽くしても最後はゼロになる仕事。

 

 

果たして、生きている間少しでもプラスを与えられるような人間に、医療人はなれるだろうか?

 

 

【話1】総合門前日和。

ーこの話は実話を元に個人情報が特定されないよう改変されたものです。

 

 

 

「谷城くーん!これお願い!集めてくれたら出すから!」

「はい!」

 

午前11時。忙しさのピークは抜け、一人一殺で切り抜ければ普段通り昼休憩に入れそうな様相。待合室の患者の数を見ながら、ふと谷城は一息ついた。

 

ここ、ひなた薬局は総合病院を門前に持つ中小薬局だ。その隣の病院、光陽病院は診療科目は国立の大学病院には負けるものの、市中病院としては近隣住民や市・県外からもそれなりに認知されていて、特殊科目も持つ大型病院。

平日午前は慢性期の定期患者で溢れ、小さい待合室はスピーディーに患者応対をしなければすぐに椅子がパンパンになってしまう。

そこに勤める谷城健斗は、4年目の勤務薬剤師だった。谷城以外にも、数人の薬剤師が常に常駐していて、せわしなく手を動かしていた。

 

「どれどれ……」

忙しいとはいえ、オフピーク。処方箋をじっくり吟味し監査するくらいの時間はある。登録販売者ではなく薬剤師が調剤をしながら監査をすれば医療過誤は絶対的に減らせる、という教えは彼が実習先の薬局で管理薬剤師から学んだことだ。

 

山口 治夫 83歳 男性

処方交付日 平成30年 5月20日

 

【般】アムロジピン錠 5mg 2錠

エックスフォージ配合錠   1錠

 

朝食後   28日分

 

 

「……ん?」

 

谷城は処方箋をはたと見て、劇薬棚の最もポピュラーな場所にあるアムロジピンを取り出しながら怪訝な顔を浮かべた。

 

そう、この処方は、マズいのだ。

 

 

 

 

 

 

Q:この処方の疑義照会すべき最もマズい点はどれか。なお、患者は再診し、普段より同じ医師に掛かっているものとする。前回受診時にも、エックスフォージを処方されている。

 

1.アムロジピン錠は1回1錠が原則としての用量であるので、2錠は過剰である。

2.アムロジピンの用量が過剰である。

3.エックスフォージ配合錠の用法が誤っている。

4.エックスフォージはニフェジピンとバルサルタンの配合錠であるため、Ca拮抗薬が被って処方されている。

 

 

 

 

 

谷城は顔色を変えないまま、当該患者の薬歴(※薬剤情報指導履歴)を開いた。

山口 治夫

平成30年 4月23日 指導薬剤師 甘夏 林檎

 

【般】アムロジピン錠 5mg 1錠

エックスフォージ配合錠   1錠

朝食後 28日分

 

 

「あ、やっぱり前回は大丈夫だ…増量か。血圧高かったのかな。とりあえず先生に聞かないと…15mgはマズイよ」

 

正解:2

 

アムロジピン

・高血圧症

通常、成人にはアムロジピンとして2.5~5mgを1日1回経口投与する。
なお、症状に応じ適宜増減するが、効果不十分な場合には1日1回10mgまで増量することができる。

 

エックスフォージ配合錠

1錠中バルサルタン(日局)80mg及びアムロジピンベシル酸塩(日局)6.93mg(アムロジピンとして5mg)を含有する。

 

 

「あ、お疲れ様です。ひなた薬局の谷城です。内科の大手山先生に本日掛かられた、山口治夫様の処方についてなんですが……」

 

アムロジピン5mg2錠と、エックスフォージに含まれるアムロジピン5mg。合計15mgは添付文書上過量であるため、谷城は医師に疑義照会した。医師が診察中のため、代わりに電話に出たのは事務員の女性だった。

医師に問い合わせ、処方に変更があればFAXするとの旨を取り付けると電話を切った。

患者に、少しお待たせする旨を伝えて戻ると、すかさず、先輩薬剤師の甘夏林檎が声を掛けてくる。

「ヤジョー、どったの?」

「りんご先生。いや、アムロジピンが過量で出されてたんですよ、これ」

「ほーん。ああ、合剤でよくあるよねえ…」

甘夏は谷城より5つ年上、ギリギリ29歳と15か月の若い薬剤師だ。しかし、背は谷城より顔ひとつぶん低い。幼さの残る顔立ちから言えば、中高生と間違われるかもしれない。

「最近、合剤も増えてきましたし、特に後発品と名前がごっちゃになることも多いですよね」

「そうねー。先発品の名前だけだと知らなかったら想像つかないかもしれないわね。ま、私達が知らなかったじゃ済まないけど」

「で、ですね……」

谷城は降圧薬の合剤リストを引っ張り出してきた。採用品、それに後発品も含めると目がしばしばする。

 

・エックスフォージ(アムロジピンバルサルタン)

・ザクラス(アムロジピン+アジルサルタン)

・アイミクス(アムロジピン+イルベサルタン)

・ミカムロ(アムロジピン+テルミサルタン)

・ユニシア(アムロジピン+カンデサルタン)

・エカード(カンデサルタン+ヒドロクロロチアジド)

・プレミネント(ロサルタン+ヒドロクロロチアジド)

・コディオ(バルサルタン+ヒドロクロロチアジド)

・ミコンビ(テルミサルタン+ヒドロクロロチアジド)

・レザルタス(オルメサルタン+アゼルニジピン)

 

「HD/LDやAP/BP、規格によって成分量も違うからね、もう3年経ったんだし、ちゃんと全部覚えたでしょうね」

「いやぁ……はは」

甘夏は谷城にツンとした目線を送りながら待合室に消えて行った。谷城に掛けるつっけんどんな対応とは何だったのか、患者へ向かう甘い猫撫で声が聞こえてくる。

 

「谷城サン、FAXデス」

「あ、ああ。ありがと!」

事務員の女性――小鳥遊檸檬から、送られてきた変更処方箋を受け取る。機械的な表情を変えないまま、小鳥遊はレセコンに戻った。

 

 

山口 治夫 83歳 男性

処方交付日 平成30年 5月20日

 

【般】アムロジピン錠 5mg 2錠

【般】バルサルタン錠 80mg 1錠

アーチスト錠1.25mg 1錠

 

朝食後   28日分

 

「えーっと……」

谷城は変更後の処方箋を見ながら固まった。

そして、いそいそと電話のある方へ向かった。

 

 

Q.追加された処方箋で薬剤師が考慮すべき点はどれか。

 

1.アムロジピンとアーチスト錠には相互作用が認められ、併用禁忌であるため必ず医師に疑義照会しなければいけない。

2.アーチスト錠は高度の徐脈、高度の房室ブロックのある患者には禁忌である。

3.患者の適応症について疑義照会が必要である。

4.アムロジピンバルサルタン、アーチストの用量は全て正しいため、疑義照会はしなくてよい。

 

 

「何度も恐れ入ります。谷城です。先ほどの山口さんの件についてなんですが……適応症は高血圧で処方されていますよね?」

 

 

正解:2,3

 

アーチスト錠1.25mg

禁忌:高度の徐脈(著しい洞性徐脈)、房室ブロック(II、III度)、洞房ブロックのある患者[症状が悪化するおそれがある。]

 

本態性高血圧症(軽症~中等症)

カルベジロールとして、通常、成人1回10~20mgを1日1回経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。

 

 虚血性心疾患又は拡張型心筋症に基づく慢性心不全アンジオテンシン変換酵素阻害薬、利尿薬、ジギタリス製剤等の基礎治療を受けている患者)


カルベジロールとして、通常、成人1回1.25mg、1日2回食後経口投与から開始する。

 

 

再度送られてきたFAX。ようやく谷城は安堵した。

「疲れた顔してるねえ」

「ええ。まぁこれも仕事ですから…」

「ところで山口さん、30分以上待たされて寝ちゃってるよ。あの人、寝起きは性格変わるんだよね~」

「ハッ!」

時計を見る。最初に遅くなると言ってから、40分も経っていた。

若干口調の荒くなった患者を前に平謝りしている谷城を調剤室の影から甘夏が小悪魔の顔つきで見ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

【薬】第103回薬剤師国家試験は難しかったらしい

あけましておめでとうございます(もう3月だが?)



昨年も色々あった。

そして今年も色々あるだろう。

 

少なくとも分かることは、昨年よりも今年はだいぶ成長できた。

それは就職してからも勤務日は欠かさず毎日のトレンドから勉強してきたこと、添付文書とインタビューフォームの読み込みから分かる深い部分での理解、そして学生でなくなっても原著を読み、個人研究すること。

講演会に出ること。学術発表に出ること。

 

時間にしちゃ、そんなに大したことはやってないが、日ごろ意識しなくてもこういうことができたおかげで、業務だけじゃなくて患者、看護師、医師に還元することができているこの頃……だと思っている。

 

もちろん時々やらかしはするが。

 

 

さて…日程も知らずうちに薬剤師国家試験は今年も終わっていたようだ。

まぁ、知らなくても、あの試験は国公立大の二次試験と日程が被っていることが多いから、勤務先が九州大学と近いこともあって学生の学ラン姿を大学で見かけるとなんとなく分かるものだが。

 

速報値を見たところ、99回、100回並に…雑な言い方をすれば手ぬるくはなかった、試験だったようだ。

ここのところの推移をみると、101回が「勉強していれば」新卒にとってはやりやすかったのを除いて概ね合格率60%台というのを見れば、今後もこの辺に造られていくんだろう。

ネットでの吹聴(これをアテにするのはどうかと思うが)を眺めていても、俺がまだ薬学部1年生だったころの、『薬学部は敷居も低い上に国家試験の難易度もゆるい、誰でも金払えばなれる薬剤師』から『入るは安し、出るには努力した者にとっては安し』に変わってきているのかもしれない。

 

ただ、問題をやたらめったら難化させたかと聞かれると、実際に解いてみて、めちゃくちゃ実戦寄りに作られたな、とすぐに思った。

実践領域だけしか全部解いてないが、2日目部分の得点率はちょうど90%だった。

現役の薬剤師なら解けてほしい問題が詰まっていて、逆にこれが解けないようなら現場に出るにはまだ力不足……そういう意味で実力勝負な色合いの強い問題になっていたと思う。

 

もっとも、実習で半年間しか現場を経験しない薬学生と、3年目の俺とでは実務の経験値が違いすぎるから、良問と感じるだけなのかもしれないが……。

 

 

実際の所、職に就くまでは思っていた。

抗癌剤とか、MTXなんて市中薬局じゃ触る機会あんまりないだろうし、それなら汎用性の高い胃腸薬、血圧、血糖、高コレステロール、鎮痛剤……そういう分野の方が使う機会が多いだろうと。

 

が、意外と触る。

総合病院門前のせいもあるが、抗癌剤を触らない日はまずない。麻薬だって触らない週はほとんどない。B肝やC肝なんて限られた存在だと思っていたが、意外にめちゃくちゃ存在する。

 

 

潜在患者数が1000万を超える生活習慣病の薬がもちろん一番よく触る。現に、日本で今一番売れているのは血圧の薬だ。売上ランクには、血圧、血糖降下薬。そして最近では認知症薬が名を連ねる。

だから、それを勉強したのは間違いなかった。ただ、生活習慣病といった慢性疾患は、所謂Do処方が顕在化していて、薬剤師が介入する余地が少ないのもまた事実だ。

 

今回の診療報酬改定で、薬剤師が医師に依頼することにより薬剤の重複や相互作用を防止した事案の点数が引き上げられ、また書面を用いて依頼し、薬剤が減薬された場合においては別途点数が新設される、より密にその職能を果たさなければいけない改定になってきた。

もちろん、利益ベースからしたら、服用薬剤調節支援料(↑のこと)なんてそんな何度も捕れるもんじゃないし、大きなウエイトは占めないし、立場上、そこまで医師に言える薬剤師なんて限られているのは分かっている。

 

ただ、慢性疾患に限らず色んな疾患において網羅できて、かつ医師にも物申せる実力があって、なおかつ患者に面で接することのできる(かかりつけ薬剤師制度)、実力ある薬剤師を養成する足場が整ってきているんではないかと思っている。

 

資格を顔に貼り付けておいて、全国チェーンに青田買いされ、所謂袋詰め師を雇用して枚数と差益で粗利を上げるチェーンが言わずとも改定で締め上げられている(※処方箋の基本料に関わる。別の薬局であっても同じチェーンであれば、全国共通で月XX枚を超えた場合は大幅な減算されている)のはこういうことなんじゃなかろうか。

 

お前らいい加減に医療を食い物にするのやめろよ、と。

頭と言葉で食っていけよ、と。

 

それを暗に、国家試験の段階で示されているんじゃないかなあ。

全国に人事を派遣して、学生の顔も見ずに決められた数だけ薬剤師を買い付ける、そういう場所に勤めるのが悪いとは言わない。全国どこに居たって患者は居るんだから、その場所その場所で全力を尽くせばいいだけなのだ。

 

 

 

なんか説教くさくなった。

とりあえずあれだ、今回既に合格ラインに乗っている学生は、おめでとう。

今回厳しそうで、就職内定先に電話する手が震えている学生は、どんまい。もし内定先から1年頑張って欲しいと言われようと、内定を取り消しされようと、それはどっちでもチャンスだと思う。

もし後者なら、1年分余計に勉強した分をフル活用して面接でアピールしてみてはどうだろうか。

自分、イケます!ってな具合に。

 

 

ーーここから別話題ーー

 

最近マジで忙しくて、ブログの存在すら忘れていた。

ぶっちゃけ、不運にもグーグルで検索して辿り着いてしまった若者がカウンターを回しているんだろう。未だに記事書いてない日でもそれなりにアクセスがあるのだが、真面目に読んでる奴なんていないだろこのブログ。

口悪いし、適当だし。

たまに間違ったこと書いてるし。

 

まぁそんなことはどうでもいいんだ。ある意味で俺のメモ帳みたいな所がある。

業務上、勉強したり、まとめたりした知識をとどめておける手段が他にあるならそうするが、残念ながら今の職場の先輩方はあまりそういう、薬学的知識に基づいたことよりも、いかに日々のルーチンをこなし、その上で患者とコミュニケートを取る方が重要だと思っているらしいので、深い部分で話せる人が居ないのだ。

 

あえて架空の読者を作ることで、頭の中に記憶を作っているんだな、うん。そう思うことにする。

 

 

ところで、問題のある医師が多い我が病院だが、医師も時には失敗することもある。人間だからそれは仕方ない。

ただ、医療職は往々にして、失敗してはいけないのが常だ。

「私、失敗しないので」ではないが、外科手術でなくても、失敗が人命にかかわるのが医療だ。薬剤師だって他人事ではない。

 

MTXの副作用を見過ごして、「様子を見て、次回受診の時に先生に相談されるのをお勧めします」なんて言った日には免許を返納しろと言われても文句は言えないし、分包したメジコンとアマリールを間違えて、患者が運転中に死んだりしたら業務上過失になりかねない。

 

つい最近、グリベンクラミド錠「EE」と間違えて、ドンペリドン錠「EE」が分包されてしまう事件が起きてしまった(監査で引っ掛かったから大丈夫だった)が、これがもし逆で、かつ患者にわたっていたら大変なインシデントだった。

本当、SUは洒落にならない。

興味のある人は上記の二つを画像検索してほしい。マジで似ている上に、バラ分包すると薬の表面がこすれるせいで見分けがつかなくなるのだ。

ちなみにこの二つは、直径が同じ、色も同じ、裏面の印字が同じ、表面の印字が「EE03」と「EE06」である、だけの違いだ。

さすがにこれを同時採用していては、ミスを誘発しかねないのでグリベンクラミド「EE」を採用から外すことになった。

同様の理由で、エチゾラム0.5mg「日医工」とエチゾラム1.0mg「日医工」も採用から外れた。

これは、上記と同じように、色、大きさ、裏印字が同じで、表印字だけが「OS A0.5」「OS A1.0」という違いだけだ。

 

ジェネリック医薬品が隆盛を極める一方で、何も考えずに採用すると、患者に思わぬ不利益を与える可能性が高くなってしまうのは、正直心苦しいところだ。

今や後発医薬品採用率が75%を越えないと、処方箋に対する基本料の加算が貰えない時代になってしまった。最大の点数を取ろうとすれば85%。

患者が先発品を希望すれば話は別だが、多くの薬局は後発品を勧めるだろう。薬価が安くなるというメリットこそあるが、薬効が同じを謳っているのなら、少なくともベネフィットが侵されることは防がねばならない。

 

こういった所は正直、数で押せ押せ、なんでも開発しろのジェネリック会社乱立の弊害だと思っている。少なくとも、ハイリスク薬に関しては他のラインナップとは印字や製造を別にしてくれと思う。

先発品と同じ物を作るのなんて当たり前だ。

 

 

失敗の話でもう一つ。

 

薬にも性格がある。

 

例え同じH2ブロッカーであろうと、SUであろうと、DPP4インヒビターであろうと。

 

カテゴライズで「血糖降下薬」になっていも、

それぞれどんな患者に効果的なのか、

逆に患者によっては効果よりもリスクが高まってしまう薬はごまんとある。

同じ骨格でもちょっとした違いが分子間力を生み、薬理作用に差が出ることは、読者なら分かってくれると思う。

 

性格が特に尖っている血糖降下薬は、それが顕著だ。

 

ここから下はあくまで俺が勝手に作った性格……だが、

 

もっともメジャーなSU薬は、昭和生まれの昔の番長。

腕っぷしが強く、すい臓を叩いてインスリンをカツアゲする。

その効果はてきめんだが、低血糖リスクは高く、ハイリスク患者にとってはQOLを下げる一因になってきていることから、近年では一線を退いている。

使うにしても少量使いながら他薬併用するのが一般的。

SUの中ではグリベンクラミドは心臓に持病がある荒くれもの総長で、グリメピリドは頭のキレる若旦那、といった感じ。

上にある通り、高齢になればなるほど大量に使うのは避けたいが、昔からある薬なので漫然としたDo処方で、10年前60歳で飲み始めてから70歳になっても用量が変わらない人も居るとか。

 

SUと似たグリニド系薬は、小柄なボクサー。

作用機序は似ているが、1日複数回投与で血糖値スパイクを緩やかにする分、どちらかというとまだ使われやすい方かもしれない。

α-GIとは仲が良い。

 

ビグアナイド薬は、30過ぎたおっぱいの大きなお姉さん(なんでや!)

ビグアナイドといってもほとんどはメトグルコに限定される。

インスリン抵抗性を抑え(頑固なアラフォー親父も巨乳には勝てない)、高い血糖値降下性を持つ。なおかつ、安い薬価。(20代のホステスよりも経験値は豊富だが、コスパは良い)

ただし、腎機能の落ちた高齢のじいさんには要注意!(遺産を丸ごと持って行かれるかも……)乳酸アシドーシスという重大な副作用は今年の国家試験でも出たが、健常成人にはかなり低率。ハイリスク患者には禁忌で、eGFR30以下には使用できない。

今生、糖尿病になるくらいなら血液検査もしているはずで、eGFRを見ない医師なんて今時ほとんどいないと思いたいが、検査によってはクレアチニンしか出ず、数値上正常低値でも、体の小さく高齢なじいさんは補正をすると実はeGFRが下がっている場合も多いので、薬剤師なら必ず注意すべき。

それから、ヨード造影剤による一時的な腎機能低下例に注意しないといけないし、脱水時にはハイリスクとなるので、夏場、激しい運動をしている趣味の人には要注意。あと、利尿剤、SGLT2を服用しているならそれもチェックすべき。

 

α-GIは短距離走選手。

食後の過血糖に強く、走りされば何事も無かったかのようにそこには居ない。

低血糖リスクは低いが、他の血糖降下薬と併用する場合は低血糖時にショ糖が使えないのは注意。

アカルボースはアミラーゼも抑える、100m200m万能なウサインボルト。ただし、併用薬(リレーでのバトンパスは不得意…)には注意。アミラーゼの入った薬(市販薬にもある…)飲むと意味が薄くなる。

ボグリボースは副作用の少なく安定感のある日本の山縣、桐生。

ミグリトールは若く、色んな可能性を持つが副作用も高いケンブリッジ飛鳥。トレハロースを阻害するため下痢をしやすい。一方で、元々慢性便秘がある人にはこの副作用もベネフィットになるかも?

 

dpp-4阻害薬、インクレチン薬は頭脳明晰な優等生。

低血糖のリスクが少なく、状況に応じてその能力が変わるため、今一番トレンドになっている。メトグルコに追加する際の第一選択薬になりつつあり、そのためかメトグルコとの合剤も近年発売されている。

ジェネリックが発売されておらず、慢性期においては患者のコストが大幅に増大してしまうのがネック。週1回の投与で済む薬剤もあるため、長期的に見れば良い…?のかもしれない。

なお、リナグリプチンとテネリグリプチンはeGFR低下例でも用量調節しなくていいのがさらに優等生度合いを含めている。ただしリナグリプチンは便中排泄80%、テネリグリプチンは便中排泄50%で、若干変態度合いがある。天才は変態と紙一重(なんのだよ)

 

ピオグリタゾンはメトグルコお姉さんの親戚。

作用機序は異なるが、インスリン抵抗性を改善する部分は同じ。

体液貯留の方向に働くため心不全には使えない。(同じく、高齢のじいさんにはあまり向かない)

 

SGLT2薬は鳴り物入りの新人ルーキー。俊足巧打で高校通算〇〇安打と名が付く開幕前が一番盛り上がる新人紹介と一緒。

血糖降下のパワー自体はさほど大きくない。尿糖に血糖を出すため、低血糖のリスクは低いが、逆に言えば血糖として巡っている分に直接働きかけるわけではないため、安打性の当たりと俊足で3月、4月に打率3割を残すタイプ。一過性ではあるが体重が少し落ちることもあって、軽症の肥満型患者に特に使えるが、尿路感染を起こしやすい女性には使いづらいかもしれない。

 

 

こういう、同効薬でも性格をイメージすれば覚えやすいし、使い方の理解が深まると思う。逆に言えば、セオリーに反した治療はリスクばかりとって意味が無いのだ。その意味の無い治療をやっていたせいで患者を憂き目に合わせた事例がこの間あったのだが、それはまた別の話で……。

【薬】最近のあれこれ +【学生向け】薬剤師国家試験直前に考えた方がいいこと

よう、今年もあと残り少し……

 

忘年会シーズンに突入だ。

 

そして、インフルエンザシーズンにも突入。

 

今年は特に全国的にワクチンが品薄で、

 

12月に入ってから打てばいいや^^

 

と気楽に考えていた受験生が阿鼻叫喚

 

の絵図になっている。


さて…

 

最近のあれこれだが、

 

うちで特に話題になった、新薬が1つ。

 

・スインプロイク(ナルデメジン)
オピオイド拮抗型便秘治療薬

麻薬やオピオイド性鎮痛薬を使用している患者は、それなりの高頻度で便秘を誘発する。

特に用量が多くなると必ずといっていいほど便秘を呈する。

これまでの便秘薬は塩類、刺激性、あるいはルビプロストン等の水分を腸管内に増やすような、一般的な便秘に対する物だった。


スインプロイクは全く異なる機序で、オピオイド受容体アンタゴニスト活性を示し、オピオイドによる腸管の蠕動運動抑制を解除するのが主作用。

 

でもせっかくのオピオイドを拮抗したら鎮痛薬の作用が弱まるんじゃ?

 

という心配があるが、消化管のμ受容体への結合能が高く、BBB透過性が低いために

 

鎮痛作用への懸念は少なめとされている。

 

事実、スインプロイクが発売されてから麻薬長期服用患者に対してよく汎用されるようになったが、鎮痛効果の低減を理由に離脱した患者はまだゼロだ。

 

一名、下痢が強くなって中止になった患者は居るが、オピオイドに特異的な面、比較的良好に受け入れられているよう。

 

新薬のため、まだ14日投与制限なのが難ありか。

ちなみに新薬の投与日数制限は、薬価収載の翌月の月頭から1年間。

 

 

 

【学生向け】薬剤師国家試験直前に考えた方がいいこと

 

年に数記事しか書いていないからコイツまた国試の話をしてやがる、とかそろそろ叩かれそうだ。いや、叩かれるほど見られてないと思うが

 

未だに学生気分が抜け切れてないとかそういうことではなくて、薬学部生時代にやっていた多くの勉強が今の職場に滅茶苦茶生きているから、学生時代の事を時々振り返りたくなるんだよな。

 

んで、勉強法とかこの時期何をやればいいのかとか、そういったのは前も書いたから置いておくとして。

というかそれは全員やって当たり前。やらないやつが落ちるだけだからな

 

今回は勉強の部分以外で知っておくと役立つこと、あるいは自分の受験年時代の経験則をつらつらと書いておこうと思う。

 

・国家試験数か月前

 

大体今の時期。

勉強以外にやることと言ってもほとんど無さそうな気もする。

大方就活は終わっているし、(この時期までもつれているようなら卒後に回しても損はしないと思うが)

体調を整えながら国家試験にむけて猛進する。そういう時期……

 

ちょっと待ってくれ。

本当に準備は勉強のことだけでいいのか。

 

国家試験は高校や大学の入試と違ってやや特殊な環境で一斉に行われるから、

下調べはやれる時にやっておいた方がいい。

 

 

まず、家あるいは下宿先から試験会場が近い(概ね1時間以内に着ける)場合

当日の試験会場への細かいアクセス、実際にどれくらいの時間が掛かるのか

試験が終わった後の帰りのアクセスはどうなのか

バスであれば混雑しないか

電車であれば急遽止まった時の臨時手段はあるか

 

直前になってこういうことをやる暇は余裕を無くすから、年末前にやっておいた方が吉だ。

特に数千人の受験生が一気に動く福岡・大阪・関東の受験地は

まず間違いなく混雑は予想していい。それから時期的に積雪や強風でよく交通機関は遅延するので

遅延を含めて余裕のあるスケジュールを立てておこう。家に出るのは早すぎても問題ない。

 

・家から通えない場合

今の時点でホテル等を予約していない場合は往復ビンタを飛ばすぞ。

これは来年以降の受験生にも言えることだが、夏休みの時期に試験会場近くのホテルはすぐ埋まる。

試験会場の詳細は、夏・秋の段階ではどこの大学が会場になるか分からないが、過去の会場を見てもらえば、そう大きく動かないことが分かる。

もし直前になって全く違う会場が設定されても、ホテルはキャンセルをすればいいだけなので、日程が出た段階でさっさとホテルは抑えておこう。

もしまだ抑えていない馬鹿野郎が居たらなんでも使って早く予約しておこう。

 

・国試1週間前から前日にかけて

これは経験に基づいているが、

俺は、国家試験前々日の15時にホテルにチェックインできるように予定を組んで動いた。

1週間前から3日前までは実家からホテルへ電車で移動できる距離だったから、実家で勉強していた。この時期には試験当日と起きる時間、寝る時間、メシの時間をある程度合わせておくといい。

 

チェックイン後は、前々日は実際の交通機関の時刻表を確認して(ネットとは改定でズレていることがある)、近くにコンビニなんかがあればその場所も確認しておく。

 

前日は、当日時間通りに起きてメシを食って、翌日動く通りに動いてみる。

会場に着いたら寒さなんかを確認して、Uターン。その後テストの時間通りに時間を図って過去問でテストする。昼食、休憩時間なんかも当日と同じにする。

 

勉強道具は人それぞれだが、俺は青本を持ち込みすぎるのはやめた方がいいと感じた。

クソ重いし、あれが並んでいるだけで萎える。1週間前から3日前までの間で、ホテルに持ち込む勉強用具は厳選しておこう。

青本10冊全部持って行ったのが本当にバカだったと思う。

 

それから、当日の動きだがまず行ってすることはトイレの場所と、大きさチェック!

特に女子は絶対だ。野郎はそうでもないが、福岡会場は例年女子トイレが初売り福袋のバーゲンセール顔負けに渋滞する。

自分の試験教室から最も行きやすい、あるいはそこが混んでいた場合に行きやすい穴場を見つけておこう。

試験前と試験中の一定の時間は退出が許されない時間もある。

それに休憩時間もさほど長くはないから、心にムダな影響を及ぼさないためにもやっておくことをオススメする。

 

休憩時間に一切トイレに行けなくて涙目だった受験生を実際に目の当たりにしたからな……

 

 

トイレの次は食事だな。

模試で経験している分楽だとは思うが、割と本気で食が通らない時があるから、

普通のメシに加えてウイダーなんかのゼリ―系飲料があると良い。

カロリーメイトソイジョイは口がパサつくのでお茶の量が増えて尿意が増す。ごはんorパンのメシ+ゼリー系+α が王道だと思う。

 

俺が受験した時はコンビニのめっちゃ匂う担々麵を持ち込んだ奴が居たな…

 

午後のためにエナジードリンクがあってもいいが、普段飲まない人が飲むと胃に来るからそこは自己責任で。

とにかくこまめに栄養補給ができるように備えた方が吉、だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―蛇足な話―

(仕事をしていて、私的な愚痴に近い内容なので鬱陶しい内容なので暇人以外は見なくていい)

 

 

「他の医療者から見た医師」って一体どんな存在に値するべき、なのだろうかと。

 

 

患者にとっての医師は、疾病・疾患を鑑別し適した治療法や処方を行う、

所謂「先生」なのだろう。

 

だが医療人にとっての医師は例えば、薬剤師だったら、医師からの処方が仕事の大元である。(無論、ここ最近の流れでいえば病棟管理指導だったり、在宅訪問で必ずしも処方だけに依存しているわけではないが)

 

医師が居なければ薬剤師は仕事がないわけだし、言い方は乱暴だが神、あるいは親会社、あるいは上司にも似ている。

 

立場上、向こうから仕事を振られている観念が強いわけだから、いくらチーム医療と言えど医師の方が強いのは当たり前なのだ。

 

だからといって薬剤師が要らないとか、医師の下位組織だとか言うつもりはないが、少なくとも日本の医療社会ではそういった暗黙を了解した上で行動するのが賢い。

 

と、ぺーぺーの新人は最近思い知らされた。

特に、医師歴が40年50年といったベテランの医師ほど、

俺が思っている以上に、医師以外の職は手足どころか道具としか思ってない……人が少数だが居る。

 

エビデンス的にいくら向こうが間違っていても、

 

99.9%おかしいことでも、

 

最終的に向こうがイエスと言えばイエス

何故ならば医師の経験こそがエビデンスだから。

あるいは、医師の考え、方針が沿っているからこれでいいのだとか。

 

こちらとしては職務上、「尋ねて、それで医師がGO出していれば」仮に患者がそれで悪化したり急変しても、職務は満たされている。

 

もっとも、道義的にそれでは通らないのだろうけど、一般的にはそれがまかり通っているのが現実だ。

 

 

例を挙げれば、

感冒症状、緊急を要さず現在抗菌剤を投与もされていない一次状態の患者に、いきなり長期でST合剤をどかんと出す。

 

 

アルギン酸を添加剤に含み粘り気があるために他点眼薬とは時間を置いた上で最後に点眼する必要のある点眼剤を「適当に差していい」と患者に言っている。

そして疑義照会した薬剤師に俺の処方に口出しをするなと恫喝を始める。

 

低血糖で眼底出血を起こしている患者(インスリン治療中)のインスリン単位を放置したまま継続指示を出している。たまらず他院受診した患者が、他院の医師の紹介状を持ってきて渋々処方を修正する。もちろんインシデントは素知らぬ顔。

 

 

上記は残念ながらリアルな話で、それも毎週のようにこういった電話は繰り返している。

俺が就職する前に医師に抱いていた尊大なイメージは割と脆くも数年で崩れかかりそうになっていた。

尤も、完璧な人間など居ないのだから、そこはそれ、職務としてバックアップできるのならそれは大義なことだが、話を聞いてもらえないとどうしようもないのだ。

 

逆に言えば、こういった医師に正論かますのではなく、裏道抜け道耳打ちを使ってなんとか患者のためにフォローアップするコミュ力もまた、薬剤師にとって必要な技術なのかもしれない。

 

あるいは将来、薬剤師がもっと役に立つモノだと

認識してもらえたのなら、話も変わってくるのだろうか?

 

薬剤師にとっての医師とは何ぞや、医師にとっての薬剤師とは何ぞやとは、ちょっとやそっとじゃ答えの見つからないゆゆ式問題らしい。

 

捕捉しておくと、こういう話を細かくかいつまんで積極的にフォローしてくれる医師もたくさん居る。

場に応じてこちらの職能をしっかり依頼してくれる医師も居るし、

むしろスゴすぎてこっちの立場が無いくらいの医師も居る。

 

ただどんな医師に当たろうと、患者にとっては医師であり薬剤師である事実は互いに変わらないのだから、

そこに向かって努力することはきっと無駄じゃないと思うしかない。

 

 

(本音:楽して働きたい)

 

【お知らせ】一部記事の削除について

おう、俺だ。

 

ブログの方針を変えることにした。

 

このブログはなんでも自分の書きたいことを書くためだけに設立したんだが、

 

あまりにもプライベートの事が混じりすぎているから、

 

今後は薬剤師としての活動方面と薬学部生向けのみを絞って出すことにする。

 

他のジャンルに関しては別にブログを作ってそっちでやろうかと思ってな。

 

何人が見てくれているのか分からないが、今後もよろしく頼む。

 

 

 

――といった傍から関係ないが、先日下関海響マラソンに参加した。

 

自身公認レースとしては2回目のマラソン。

完走はしたが途中で脱水症状を起こす悔しいレースになった。

タイムは4時間24分01秒。

 

これからも頑張っていこう。

【薬】季節も早いもので

気付けばもう秋深まる感じになってしまった。

 

毎年話題にしてることだが、この時期に入るとどうしても薬剤師国家試験に本格的に入る受験生が多いことを頭をよぎる。

 

既に卒業して何年か経っても、毎年のように後輩に勉強方法だとか、実務実習の質問だとか、あとは就活相談を受けるから考えることは多い。

 

次は第103回薬剤師国家試験、だろうか?

 

試験の様式も数年おきに変わるだろうから、俺みたいなのがとやかく言うことではないんだろうけども

 

できればちゃんと勉強してきたヤツには受かってほしいし、

 

国家資格でドラッグストア年収ウマウマ!勉強なんてテキトーでイイッショ!スタイルを6年貫いてきたヤツには頼むから数年落ちて諦めてくれと思っている。

 

 

んで、前年度も勉強方法について書いたので、

 

今回は別視点からでも。

 

 

既に書いたエントリーをほじくりだして読んでもらえば分かると思うのだが、

 

俺は卒後就活をしている。そして短期間で多数の面接を受け、そのほとんどから内定書をもらった上で比較して入社した。

 

結果的にそれは大正解ではなかったにしろ、まず後悔するような選択ではなかったと思っている。今のところは。

 

 

じゃあ、実際。

4年は今頃実務実習の準備を始め、

5年の今頃から就活準備を始め、

6年はいよいよ国家試験の準備を始めるこの秋

 

 

学部生や受験生に知っておいてもらった方がいいカモ?

と思うナマの声(ただし1名分だが)を書いておこうと思う。

 

 

 

~薬学部生 4年編~

 

※注※俺の在学中は 病院3か月 薬局3か月 のカリキュラムに基づいた経験しかないので、今後の体制変更に伴う感覚のズレは考慮しない。

 

 

4年秋。

CBT、OSCEを控える中、

多くの専門科目をこなして単位を取らなければならない時期。

薬学部における1つ目のヤマ場。

 

その二つを越えたあとには実務実習が待っている。

 

まずCBT・OSCEについてだが。

学校のレベルが一定以上であればまず学生側が心配する必要はないだろう。

 

授業通りのことを合格点以上やればいいだけ。

CBTについては合格点を取れるまで、授業のスキマに過去問や類題集を解いて自分の中に答えを染み込ませること。

 

付け焼刃的なことを言えば、問題を理解する必要はない。選択式回答型なのだから、この問題のこの問われ方はこの選択肢――とおおざっぱに結び付けられればいいのだ。

 

国家試験ではそれではだめだが、CBTでは単語と単語の紐付け力が問われる。

 

それから、一発勝負とか言われるが、たいていは合格点を取れなくても再試があるし、大学のシステムによっては学内上位何%を通らせる理屈で通ってる所もあるから、

1回出来なかったからといって悲観的になるのはやめよう。

 

CBTごとき、上から目線で見てやればいいのだ。

(という話を現役時代にされたが、ブルっていた俺。)

 

一応、落ちる奴は落ちる。でもそれは、学内で1番不真面目な奴。再試になっても無勉で受けるような、そういう不届き者が1人か2人、落ちるだけだ。

ちゃんとしてるやつは落ちないから心配しなくていい。

 

OSCEについては少々理屈が異なる。

 

学内、または定められた施設で実技を行うわけだが、

一言も発せない大変異常な空気の中、他大学の教授らの「(学生から見ると)コイツを落としてやるぞ、ククク……」みたいな目線に晒される。

 

本当、あれほど圧迫面接みたいなことをしてくる試験は他にない。

ていうか、実際の現場でもあそこまで慎重を強いられるのなんて安全キャビネットでの抗癌剤の調製くらいだ。

 

水剤や外用剤の余製(あらかじめ、出される混合処方について作っておくこと。風邪薬の飲み薬や、軟膏の定型混合などがこれにあたる)なんて普段は雑談しながら作るもんだし、

 

TPN(中心静脈栄養のこと。経口で栄養摂取できない患者や、末期の療養病棟などの患者に、1回4~12時間をかけて1日分の栄養を入れる手法)の混注(注射剤の混合調製。クリーンベンチなどを用いる)は厳かではあるが実習中は指導の薬剤師がちゃんと見て指摘してくれる。

 

服薬指導は最初は緊張するだろうが、誰だって初対面の他人と一定の空気感で会話、なおかつ指導を行うのは緊張する。そこは学校の授業の中でいくらでも失敗して練習しておくのが良い。

 

 

まぁそれはとにかく異質な環境の試験だから、OSCE前にある大学での実技講義はしっかりと望んでおこう。ここを適当にやるやつは本当に落ちる。CBTよりもウチの場合は落ちる頻度が高かった。それでも学内に3人とかだが

 

気持ちの面でも勉強の面でもしっかり準備をすること。

それさえやっていれば自信を持っていい。

 

 

~薬学部生 5年編~

 

 

実務実習・薬局。

 

所属する薬局にもよるが、基本的には調剤・服薬指導・服薬管理がメインとなり、それに付随する薬剤管理・法令順守・混合、散剤、水剤調製・そのほか知識や薬剤師としてあるべき事(災害時であったり、学校薬剤師、薬物乱用防止の第一人者であること、OTCの知識など)を補完的に他薬局でやったり、座学をやったりする。

 

学生にとっては慣れてくると若干ヒマに感じたり、つまらなく感じたりすることもあるかもしれないが、個人的な体験として国家試験の実務領域ではこの実務でやったことの多くが出題されるため、やって損になることはない。

 

それからこれは残念なことだが、実習先の環境があまり良くなく、学生を小間使いとしか思っていない薬局経営者やパワハラまがいの指導しかできない残念薬剤師は必ず存在する。

 

もし実習中に不安に思ったら、まずは大学側の指導教員にメールか電話で相談しよう。早めに動いておけば、深刻なことにはならない。

薬局を移動して実習を続けたり、期をずらして再修することもできる。

思い悩んで休むより、マシだ。

 

 

病院編では、薬局でも行った調剤をはじめ、注射剤の調製、病棟業務、抗癌剤の取り扱いおよび関連法規、など薬局とはまた違った実習になる。

 

病院の規模によってやることは様々だが、退屈はしない現場にはなるはず。

それだけに実習先から求められる知識は多くなるので、学生だからといって知らないでは済まされない対面は出てくる。

 

実習中でも予習復習しておくと、吉かなとは思う。

 

 

実習が終わればいよいよ就活準備がはじまる。

 

……といっても、薬学部の場合は他の学部の就活とはやや状況が異なる。

 

所謂自己分析であったり、セミナーとか、SPIだとか、世間一般に言われる就活とまた違う。

 

薬剤師は売り手市場が過剰すぎるがために、基本的にはどの分野に行っても大幅に就活で困ることは無い。今の段階では。

 

春口から夏にかけては全国の大型チェーンドラッグストアや調剤薬局が新卒の一括採用に向けて大学で講演をする機会が多いだろう。

 

病院薬剤師は数が限られているため、絶対に病院!な学生は早めに大学の就活相談を受けながら採用枠を出している場所や場合によっては必要な試験対策、面接対策をした方がいい。

 

MR、研究職については他学部生と同じく綿密な準備が必要だが、研究職については学部卒から取る印象はあまりないようだ。酷な話だが、有名大学の一ゼミから何名、等のコネクションがカギを握っている場合もあるので一般私立大卒の俺からはちょっとこれについては何も言えない。(うちの研究室にも某化粧品会社の研究開発部門へのコネがあるらしかった)

 

多くの薬学生は秋までに内定を決める。

 

学生なりに、チェーンに所属するにせよ、条件がどうとか、働きがいがどうとか、選ぶのだろう。

 

ただここでは、卒後就活して10社以上経験した俺なりに、「ぶっちゃけどうなのよ?」ってことを書こうと思う。

 

 

就活の参考にはならないかもしれないが、一応現実にある話だ。

調剤薬局をベースにしているから、病院関連は手薄だ。

 

・ぶっちゃけ給料どうなのよ?

 

「会社の規模がデカいほど、基本的に手厚い。」

 

全国展開している、県内に何店舗もある

などのチェーンは薬局でもドラッグストアでも、他を圧倒して高い。

 

俺の内定書では、

全国規模調剤薬局A(OTC扱いは少なめ):520万(みなし残業除490万)

 

全国規模ドラッグストアB(OTC扱い多、その他雑貨多):480万

 

中規模(全国50店舗以下)・在宅特化調剤薬局C420万(一般社員)/510万(幹部候補)

 

小規模(全国5店舗)・総合病院門前異動なし調剤薬局D:420万

 

小規模(個人経営)・クリニック門前異動なし調剤薬局E:350万

 

中規模総合病院、救急病院F:360万

 

 

異動が県単位で考えられるような全国規模(あるいは他店ヘルプもある)薬局は、新卒でも500万からの求人は少なくない。

逆に言うと、全国規模でこれより少ない所はなんらかのワケあり。

 

今時、仲介業者を通してまで薬剤師の争奪戦をやっている中で給料をシブる所は休みが多いか、人手に余裕があるか、それかなんらかのワケあり。

 

俺が今居るところがそうだが、比較的移動の少ない、あっても県内・市内の中小規模薬局はどこも400万前半から450万といったところだ。

 

最小値は350万で、ここは個人経営。実際に見学で行って悪い環境では無さそうだった。調剤補助のテクニシャンが数多く所属しているため、薬剤師のやる仕事が少ない分目減りしているのかな、とも思ったが。

 

病院は…正直これはどこに行ってもそうだが、役職が付かないなら給与には期待しない方がいいとは、同期からもよく言われる。

 

夜勤や時間外勤務などは、昨今医師の過労死問題を受けてようやく全国の病院が動き出しているため、薬剤師にとってもいい動きにはなっているかとは思うが、それが賃金の引き上げに繋がるかと言われるとまた別問題らしい。

 

まぁ、医師の給与が右肩上がりで診療報酬がマイナス改定を受けていれば、DPCがメインの病院では薬剤師の給料に割くわけにはいかないだろうし

 

・ぶっちゃけ休みどうなのよ?

 

概ね上の給与に反比例する。

 

500万規模の企業では、年間休日105~112日が多かった。(有給、夏季冬季休暇別)

恐らく週休2日+祝日という意味合いで間違ってないとは思う。

勤務時間はおおよそ週40時間でシフト制を取っているところとそうでないところがある。

 

上記の幹部候補を養成する企業では、週42時間+残業アリと少し多め。

 

400万規模の企業では、週休2.5日制や週休3日制を謳う所がそれなりにある。

薬局は調剤報酬の改定で、土曜日も開ける所が多くなってきているため、

土曜日の半ドン、あるいは平日の半ドンを用いている所がある。

 

それに伴い平日4日+土曜出勤 という形を取っているのだろうと思う。

 

ウチも週6で開いているが、だからといって毎週土曜日出勤しないといけないかと言われるとそうじゃない。月2くらいで、順繰り回している。

 

有給に関しては基本的に取れる業種だとは思う。

ただ、個人経営や小規模の薬局は薬剤師の数が慢性的に不足していたり、緊急時に他店舗からヘルプできない不安定さがあるため、

 

店舗によってはなかなか有給を取れる日が少ない所はあるだろう。

ただ世間一般よりは消化しやすい。その程度の認識だ。

 

・ぶっちゃけ働き甲斐どうなのよ?

 

調剤薬局に努めているが、正直かなりある。

 

これは働いてみないと分からないことだが、カウンター外で見る薬剤師と、実際の薬剤師の世界は全然違う。

 

医師の処方通り出すだけでしょ??

 

なんて言われることも多いが、医師がそこまで完璧な人間ばかりだったら誰も苦労しない。

 

処方ミスなんて日常茶飯事だし、昨今は他科受診が跋扈してきたせいで併用薬の確認の重要度合いはかなりある。

 

これは個人的な考えだが、患者本人より病気に対して寄り添うことができるのが医師だと思っているが、その反面、患者がおいてきぼりにされていることを多々見掛ける。

そういった時に、いかに患者に近しい存在になれるかが薬剤師なのだと思う。

 

何故なら患者が家に帰るまでに接する最後の窓口が薬局だから。

ここで聞き逃したり、話し逃したら終わりだ。

 

 

薬間違えて投与=患者死亡、病院が調査-新潟:時事ドットコム

 

リフキシマ(リファキシミン)とリフキシマ(エドキサバン)が誤って処方され、結果的に患者が死亡した今有名な医療事故。

 

処方する医師が間違えたのもそうなのだが、文脈を見る限り途中で薬剤師が関わった可能性も否定できない。

 

尤も、高齢の患者に抗血栓薬が処方されるのは割とよくある話だから処方自体のミスに気付くのは難しいかもしれないが、

1日3回投与のリフキシマに対してリクシアナは基本的に1日1回投与。

 

これに気付ける機会があったのなら……薬剤師はストッパーになれたかもしれない。

(疑義照会した上で医師が通した可能性もあるけど)

 

 

こういう事件を見る限り、調剤薬局が揃えて出すだけ、なんてのは穿った見方だと思う。

疾患や疾病、病理や薬剤に対して幅広い知識と知見を持って、患者に寄りそうことができるなんて、

俺は良い仕事だと思うんだけどな。

 

これは別にドラッグストアを揶揄しているわけではない。

ドラッグストアはドラッグストアで、セルフメディケーションを促進する大きな意味合いを担っているのだから役割分担だ。

 

特に漢方薬なんかは患者の証と症状がピッタリ合えば無駄に受診しなくてもよくなるし、

逆にOTCを適切に使っても効果が得られない場合の受診勧告で0次医療をこなすことができれば理想的な医療社会に繋がるだろうし。

 

利益重視で言えば、ドラッグストアでそんなことをしても診療報酬が付くわけではないけれどな。

 

~薬学部生 6年編~

 

こんな記事を見ているヒマがあるなら勉強しろ。

 

もう1回目の模試が帰ってきた頃なんじゃないか。

 

予備校の講義は 根底から理解できてない所以外は 聞くだけタイムパフォーマンスの無駄

 

やった時間と集中力の質だけが点数に結び付く

 

綺麗にノートを取る時間はもう要らない

 

資料さえ揃ったら、あとは青本なりなんなりを何周も読み込むのが王道かつ重要

 

息抜きも大事だが

 

青本、全領域積んでみたらいい。

 

これを一周するのに自分は何日かかるのか。

 

あと何日で何周できるのか。

 

そもそも卒業試験は通るのか。

 

20代の大切な1年を浪人に費やしたくなければ

 

今からでも本気になることだ

 

 

 

 

【薬】新規IBS便秘薬-リンゼス(リナクロチド)の話。

だいぶ間があいてしまったが、久しぶりに薬理の話。

 

 

今年に入って販売が承認された、新しい便秘薬リンゼス。

 

うちの病院でも採用になり、入ることになった。

適応は便秘型IBS

 

IBS過敏性腸症候群だ。

現代のストレス社会、IBS型の疾患を持つ人は多いらしい。

 

かくいう俺も、学生時代は下痢型のIBSに悩まされ、特にストレスのかかる試験とかそんなので、電車の中で下痢に腹を抱えたもんだ。

 

そんな時、アステラス製薬のMRから、イリボー(ラモセトロン-下痢型IBS治療薬)を勧められて著効したのを機に、少しばかりアステラス信者になった。

 

話は戻り、リンゼス(リナクロチド)は、グアニル酸シクラーゼアゴニスト、

国試で言う所の、cGMPを増加させる役割を持つ。

 

腸管上皮においてグアニル酸シクラーゼ(以下、Gc)が結合すると、cGMPが増加し、

腸管においてはクロライドイオンを放出する。

これにより、浸透圧で水分を腸管内に分泌する度合いが亢進するために

カチカチになっている便秘に特に著効するというわけだ。

 

また、求心性神経にも働きかけ、cGMPが増加することによって疼痛が減少するとのこと。

 

便秘薬はここに来て様々な選択肢が増えてきている。

簡便な大腸刺激性下剤。内服

・センノシド

・ピコスルファート(刺激性のほか、水分吸収阻害作用もある)

・大黄(主成分はセンノシド)

 

頓服の意味合いが強い直腸刺激性下剤

・ビサコジル(商品名;テレミンソフト。坐剤)

グリセリン(いわゆる浣腸ね)

・炭酸水素ナトリウム(商品名:レシカルボン。こちらも座薬)

 

効果はマイルドで調整が容易な浸透圧性下剤。

・酸化マグネシウム(塩類下剤)

・ラクツロース(糖類下剤)

 

腸管運動改善薬

・大建中湯(含有生薬のニンジン、カンキョウ、サンショウが腸の過敏を抑え蠕動運動を正常にする)

・宮下菌、ビオフェルミン(腸内の善玉菌を増やす。便秘にまずこれだけ出ることは少ない)

 

腸管内水分分泌

・リンゼス(リナクロチド):上記で書いたので省略

・アミティーザ(ルビプロストン):クロライドチャネルアクチベーター。腸管のクロライドイオンを増加させる。以下同文。

 

 

リンゼスはこの一番下に該当。

アミティーザも結構新しい薬だが、見て分かる通り作用機序は似通っている。最終的にはクロライドチャネルから水分を引っ張ってくる所が一緒。

ただし、リンゼスはまだ慢性便秘症の適応を取っていない

 

 

便秘薬もこれだけ増えてくると薬剤師国家試験で狙われやすくなるかも。

ただでさえ、便秘薬と止瀉薬は作用機序がごまついていてごっちゃになりやすいので

スリードを誘った問題文が作りやすい。

漢方と整腸剤はともかくとして、上記の大腸刺激・直腸刺激・塩類下剤・水分分泌性下剤のカテゴリーは覚えておいて損はない。

大腸刺激と直腸刺激がごっちゃになるってやつは、直腸刺激は商品名とくっつけて、坐薬で覚えてしまった方が楽だ。

 

この辺の薬で国家試験で狙われやすいのは妊婦禁忌薬。センノシド、アミティーザはいずれも禁忌なので注意。

同じ刺激性下剤でも、ピコスルファートは禁忌ではない。

よく使われるのは酸化マグネシウム

 

 

 

そして、このリンゼスは発売されたばかりなので添付文書も貧相なのだが、

先日リンゼスを他院で処方中の患者(高齢。女性)にアミティーザがうちの門前から出るってことがあった。

 

上に示したように、同じような作用機序の上、アクチベーターとアゴニスト、相加的に作用する可能性があるだろうから、あまり併用してもリスクばかり高くてベネフィットは低いと思われるので、併用はしないようにと言った。

 

ところがどっこい、本人は相当便秘に悩んでいたらしく(2つ以外にもマグミット1日1g、センノシド1日2錠)全部一緒に飲んでしまったようだ。

 

その日から下痢になり、あわてて薬局に電話を掛けたらしい。言わんこっちゃない…

 

恐らく保険上も通らないだろうし、併用注意にでもなるのかなー。わからんなー。

便秘強い人には2剤3剤の併用が当たり前なので、

下剤同士で併用注意になることはないんだろうけど

 

実例を持って併用はやめたほうがいいという経験になった。