【薬】チラーヂン。
めっちゃ寒くなってきた……。
この間までは暑い暑い言いながら通勤してたっていうのに
よう、俺だ。
特に何か目的があったわけじゃないが
日常的にまとめておきたいことができた時にはブログってのは便利だな。
うちをかかりつけ薬局にしてるとある患者さんA。
60代の、女性だ。基礎疾患はそこまで多くない
恒常的に飲んでいるのもGERD予防のPPIと痛み止めだ。
今回の処方には、マグミット(水酸化マグネシウム。汎用される下剤だ)が追加されていたので、便通が悪いのかな~と思いながら服薬指導をした。
お薬手帳には、先月から他の病院でチラーヂン(レボチロキシン)50μgが処方されている。
他のページを見ても載っていないので、恐らく初処方なのだと思われた。
なので、飲み合わせのイメージギャップも埋めるため、それとなく聞いてみたら、
案の定甲状腺腫による摘出術を受けており、チラーヂンを飲まなくてはいけなくなったようだ。
だが、今処方されているものに特に相互作用的な問題は無さそうだったので、便通の調整に気を付けつつ、とだけしか言わなかった。
ところがどっこい。
患者さんが「この便秘薬はね~、朝晩で出てるけど昼晩にしようと思うの。朝は甲状腺のコレ(チラーヂン)があるから~」
と言う。
詳しく聞けば、どうやら他の薬局で、チラーヂンと同じタイミングでマグミットを飲まないようにと言われたようなのである。
かなり真剣に考えているようだったので、はて…と添付文書を確認してみる。
レボチロキシンの作用に影響を与える大きな薬剤のひとつは、金属イオンとキレートするということである。
主に、沈降炭酸カルシウムや、水酸化アルミニウムなどの制酸剤。
あとは、鉄剤だ。
亜鉛も注意が必要。亜鉛というとサプリメントを思い浮かべるが、ポラプレジンク(プロマック)も亜鉛を含んでいるため、注意が必要だ
だが、Mgは調べてみたがレボチロキシンに対しての吸着能がほとんどないそう。
同じ2価のCaイオンは吸着するので、科学的にちょっと理由が分からずお手上げであるが、
汎用されているMg製剤(しかも1回量0.5gとかとんでもない量)を併用しても記載されないくらい影響がないようだから、
これはさすがにやっかみもんな投薬をしたのかなあ、と思わんでもない。
もしくは、金属の含まれる薬とは間隔をあけてくださいね、とだけ言われたのかも。ご高齢だから、いちいちカルシウムがうんたらというよりは分かりやすい。
マグミットと聞いてそう反応したのだから、ほぼ間違いなくマグミットと伝えられた可能性の方がでかそうだが…
もっとも、甲状腺ホルモンはかなり微量(単位を見ても分かるが、1回量がおよそ0.05mg~0.1mgなのである)なので、ちょっとしたキレート物にかなり影響を受けてしまうことを考えたら、マグミットの飲み方が変わったところでそんなにQOLに影響与えないから、そっちの方がいいのかなあ。
ともあれ、この患者さんは特に併用注意の医薬品が無かったので良かったが、
甲状腺摘出後で一生T4製剤を飲まなくてはいけない患者には、きわめて併用薬のチェックは重要なのだ。
もし、キレート作用で効果が出なくなったら代謝に関する機能の大部分が奪われるし、
それで医師が用量を増やしてしまったら…
キレート医薬品を飲まないタイミングで急に血中濃度が上昇し。
不整脈。からの続発性疾患
に繋がることまで考えないといけない。
もっとも、透析患者でガンガンチラーヂンと毎食後の沈降炭酸カルシウムを併用している患者なんてたくさんいるから、
そこまで深刻なケースはあまりないのだろうけどね。
でも透析患者のレボチロキシン投与量を見る限り、やっぱり100μgを大きく超える用量を服用している患者が多いので、
多少なりともキレートしてんのかなあ、ってね
あとどうでもいいけど
認定薬剤師の単位を取り終えて
来月には認定薬剤師の申請ができるようになった
かかりつけ薬剤師の算定には実務経験3年が必要なので
まだまだ点数が取れるわけじゃないんだけど
他のチェーンとかみると、地味にかかりつけ薬剤師の点数をボンボン取っている所はあるらしい。
まあ、1割負担の患者なら1回70円だし
さっきも言ったように多剤併用でのリスクマネージメントが出来る意味では
使い勝手はあんのかなーって気はするね
まあ俺は少なくとも老人になるまでは使わねー気がするが。
210円取られるくらいならその金で酒を買う…
つーか自分でできるからいらねーw