ごちゃまぜ浮浪録

新人を脱しつつある肥満薬剤師が薬学部生向けに日頃のあれこれを偉そうに語るブログ

【薬】糖尿病薬の強さと併用

http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/di/column/yamamoto/201411/539363.html



また久しぶりになってしまった。


最近妙に忙しい…




薬学を学ぶにあたって、



作用機序とか、



薬効とか、



その辺は踏襲するんだけども



実際に現場に出ると



どういう理由でこれが使われるか、とか



同じ作用機序でも特色や強さに違いがあって、




そこはそれで勉強していかないといけない




んで、今回は糖尿病薬について考えよう




糖尿病薬、
現在は
SU、グリニド系
チアゾリジン誘導体
ビクアナイド
αGI
DPP4関連
SGLT2
インスリン注射


等多様なものが使われている




では、この中で最も汎用されているのはどれだろう?





あくまでうちの病院集計だが



錠数ベースで行くと、
首位はビクアナイド。
2位にSUとグリニド系薬
少し遅れてDPP4やチアゾリジン
だいぶ空いてαGI
SGLTは数えるほどしか出ない
インスリンはSGLTと患者数的にはほぼ同じかなー


ビクアナイド、すなわちメトホルミン、ブホルミンがそうだが


商品名メトグルコは、糖尿病の第一選択として汎用する医者が多いらしい


薬学生だった時には、


副作用の乳酸アシドーシス



が強くちらついて、


あまり使いにくいやつなのかなーとか思ってたが



血糖降下作用が強く、使いやすいようだ



SUやグリニド(シュアポスト;ナテグリニド)は、
同じく血糖降下作用が強いが
同時に低血糖を起こすリスクが高い


ということで、まとめてみた。

↑強

ビクアナイド
SU チアゾリジン

グリニド
DPP4

SGLT2
αGI

↓弱


おおよそ、この3グループに分類することができそうだ。



実際、αGIは食事依存的な患者によるし、
SGLT2は高齢者には使いにくい。肥満な患者にほぼ限定されると言っても良い

メトホルミンは単剤でよく使われる半面、



併用まで行くとSUとDPP4がシェアを伸ばしてくる。


単剤では効果の薄い患者にSUとメトホルミンを併用したり、


さらに追加するときに低血糖を加味してDPP4を付け加える感じか。



それでも減らなかったらピオグリタゾン



ちなみに、糖尿病薬の併用はおおよそ4剤まで



ということらしい



この間来た処方で

アマリール1mg (グリメピリド) 分1
シュアポスト(ナテグリニド)0.25mg 3T分3
メトグルコ(メトホルミン)250mg 6T分3
般ピオグリタゾン15mg 1T分1
テネリア(テネリグリプチン)20mg 1t分1



というものがあった(個人情報ゆえ改変して仮のものにしている)




5剤併用。保険適用上、厳しい。返戻に合う可能性もあるものだ


あと、シュアポストとSU併用してるから、そもそもそこの時点でだめだけどな(作用機序一緒でしょ)



医師に疑義照会したら、


インスリンを本当は出したいんだけど、


患者がインスリン適用するような人じゃない(嫌がる)



ということで、仕方なく併用しているようだ。




まぁ、注射だしなー。




注射といっても、どちらかというとシャーペンの芯をめちゃくちゃ細くしたようなやつだけどな



一般的な注射針はいかにも刺されると穴が空きそうな太さをしてるけど



インスリンの注射針は肌に触れたら針の方が曲がるんじゃないの、ってくらい細い



血管に入れるわけでもないから




そんな恐怖感はないんだけど




とまぁそういうことで糖尿病薬の併用はありきたりだけど、色んなことがあるんだなぁと




ちなみにグリメピリドはSUの中でもインスリン抵抗性の改善作用がある

一方で心疾患リスクについては他と比べると少し高くなるようだが



メトホルミンはビクアナイドだけど2250mgまで増量が可能で作用も用量依存的というのも大きい


これはブホルミンより圧倒的にシェアを得ている要因だろうな。



DPP4は色々あるけど…どれがどう特色あるかはちょっとまだ情報不足かな



うちはテネリグリプチン(テネリア)、シタグリプチン(ジャヌビア)、リナグリプチン(トラゼンタ)、ビルダグリプチン(エクア)、アログリプチン(ネシーナ)

を置いてる。


リナグリプチンとテネリグリプチンは、腎機能障害下でも減量が必要ないので、テネリアがいまんとこ売れてるのかなー




さてでは腎機能障害GFR30以下で禁忌の糖尿病薬は?












SU、グリニド
ビクアナイド
ピオグリタゾン(eGFRによる)
シタグリプチン(eGFRによる)



なので、あんなに便利なメトグルコも腎障害まで行くと


使えなくなるんだな




ちなみにエンパグリフロジン(ジャディアンス)は、SGLT2の中でも腎保護作用があるようで、



今後腎障害とは相性がよくなるかも…?



しかし、腎障害の患者に尿細菅の副作用を起こしやすいSGLT2を長期投与するのもどうかと思うが。





今回はこんな感じで。102回国家試験でも糖尿病薬は相変わらずホットになるだろうし



俺も将来的には認定薬剤師取ったら糖尿病関連の勉強を深めて


糖尿病の患者はワイにまかせろっ!(かかりつけ薬剤師210円つけてね)


って感じでやれるくらいにはなりたいなぁ